導入
不動産の相続及び売却には、分割協議などかなり煩雑な手続きが必要です。これらの手続きを怠った際には、様々な問題が発生します。相続税の節税対策を理解し、損のない不動産の相続並びに売却を実現する必要があります。ここでは不動産の相続後売却する方法と注意点、相続税の申告方法と税制の優遇措置などについて説明します。
不動産相続後売却する際の流れと注意点
不動産の相続手続きは有効な遺言状が遺されている場合と、遺されていない場合では相続の進め方が異なります。有効な遺言状が遺されていない際には相続人の確認を行い、相続人が複数である場合遺産分割協議を行います。遺産分割協議には法定相続人の相続順位があります。有効な遺言が遺されていない場合は法定相続人全員の共有財産となり、協議に基づいて分割し相続順位の内、配偶者は常に相続人になります。配偶者に続く順位で第1順位は故人の子どもであり、子どもが死亡の場合は孫になり孫死亡の場合ひ孫です。第2順位は父母並びに祖父母であり、第3順位は兄弟姉妹になり兄弟姉妹が死亡の場合は甥や姪などです。相続の権利は第1順位の相続人が存在しない場合第2順位の相続人になり、第2順位の相続人が存在しない場合は第3順位の相続人へ移ります。複数の相続人が存在する際の遺産分割方法には、現物分割と代償分割や換価分割など3つの方法があります。遺産が預貯金などである場合は分配しやすく、不動産は分配しにくいといった性質があります。現物分割は文字通り現物を分ける方法であり、代償分割は不動産の相続人が他の相続人に現金を支払う方法です。さらに換価分割は1番多く用いられる方法であり、不動産を売却しその利益を分割する方法です。換価分割が相続トラブルの回避に向いている理由は、不動産を現金化することにより財産を1円単位まで均等に分けられるためです。換価分割は不動産を管理し維持するためのリスクや、所有している故に発生する固定資産税や都市計画税などを納税する必要もありません。換価分割は空き家として放置することにより、近隣住民との間で発生するトラブルを回避できます。換価分割方法の流れは遺産分割協議において、それぞれの相続分を決定し実際に相続の手続きを行う相続人の代表者を1人選びます。そして不動産の名義を代表相続人に変更後、不動産会社に売却依頼し売却後当該代金を相続人全員で分割します。
相続登記と不動産放置のリスクや相続税の申告方法
不動産を譲り受けた後売却するにためには、相続登記を行う必要があり所有者名義を故人から相続人に変更します。相続登記を行わず放置したままである場合、不動産は相続人たちの共有財産としてみられるため売却できない可能性があります。他にも他の相続人が自分の持ち分を自ら登記し売却する恐れがある点や、被相続人の死後さらに相続人が増え売却及び管理が困難になる点などが挙げられます。問題となるのは、肝心な場面において、不動産の売却ができなくなる点です。故人となった親所有の不動産を相続し、その不動産を放置した場合建物が劣化し続け空き家問題に発展する可能性があります。他にも不動産の価値が下がっていく可能性や、固定資産税及び都市計画税を払い続けなければならない点なども挙げられます。空き家問題は社会的な大きな問題であり、景観や防犯上のリスクになり課せられる固定資産税は経済的な負担にもなります。そして故人が遺した不動産や預金などの財産を相続した際、或いは故人となる前の3年以内に贈与を受けた際にも相続税が課せられます。ただし相続税の課税対象から差し引くことができるのは、非課税財産に該当する部分と葬儀費用などです。相続税は故人が住んでいた地域を直轄する税務署へ、死亡したことを認識した翌日から10ヶ月以内に申告する必要があります。申告時に遺産の分配方法を決める必要があり、相続人全員で遺産分割協議を行い遺産分割協議書を作成後申告します。申告が納税期限内を過ぎた場合、無申告加算税が課せられ納税額が増額し延滞税が発生します。なお相続税の納税が難しい際には、納税の分納手続きを行うもしくは不動産の売却を急ぐなどで対応します。遺産総額から非課税財産の金額や葬儀費用、並びに基礎控除額が差し引かれた金額が相続税の対象です。優遇措置に該当する場合、控除額を差し引き残った分が対象です。
相続した不動産の税制優遇措置とその他の税金や費用
不動産を相続し売却した場合幾つかの優遇措置があり、詳細は国税庁におけるホームページの最新情報で確認できます。相続税の取得費加算の特例である場合は、相続税の申告期限翌日以降から3年以内に売却した際に相続税の一定額を取得費として加算可能です。小規模宅地などの特例である場合は、地価の一定割合を減額し算出することが認められています。本来故人と同居していた同地を相続し、死亡後もそのまま居住し続ける場合が該当します。また故人が事業を営んでいた同地で事業を引き継ぐ場合や、アパートなどの貸付を故人が事業として行っていた場合なども該当します。なお地価が80パーセント減額されるケースは、故人が居住していた土地が330平方メートル以内である場合です。さらに相続後の不動産売却で得た譲渡所得は、確定申告を行う必要がありそれぞれの特例を利用する際にも申告が必須です。売却価格と取得費や譲渡費用など、これらとの差が大きい程譲渡所得の課税額も大きくなります。少しでも納税額を少なくするために、売却適用の優遇措置も確認しておく必要があります。不動産相続後売却するまでには様々な税金が発生し、未納付の税金がある場合追徴課税などが課せられます。その結果納付する税金が膨れ上がり、資産が目減りしてしまう可能性もあるため必要な税金を納付し、滞りない手続きの完了を心掛けます。不動産を相続し売却時に課せられる税金は、相続税を除き登録免許税と印紙税や譲渡所得課税加えて消費税などです。これらの税金は相続や売却などにおいて、大きな金額が動く場合税額も大きくなる傾向が見られます。相続後住宅の売却による譲渡所得へ、課せられる税金は軽減措置もあります。そして不動産の相続時に必要な税金は、取得費用が手続きに必要な書類により発生します。主な書類の取得手数料は、書類の発行手数料など自治体により異なることもあります。目安として「被相続人の戸籍謄本:450円、被相続人の住民票除票:300円、相続人の戸籍謄本:450円、相続人の住民票:300円、相続人の印鑑証明書:300円、不動産登記事項証明書:600円、固定資産評価証明書:400円(2通目以上は1通100円)」など。書類が揃っていない状況である場合、相続並びに売却の手続きが遅延する可能性があります。そのため不動産の相続及び売却に関する書類の取得は、できる限り早めに済ませておく必要があります。
まとめ
相続後の不動産を売却するためには、各種の手続きが必要であり相応の税金も発生します。一連の手続きを滞りなく済ませことをはじめ、同時に節税するためにも不動産会社などのプロに相談しながら進めていきます。その上で相続に関する協議が、まとまらない場合は弁護士への相談も検討推断です。
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