「相続した実家の裏に畑がついていた」「土地を売ろうとしたら、そこは農地だから普通の売買とは違うと言われた」——ハウスドゥ つくば研究学園都市店には、こうしたご相談が県南エリア(つくば市・土浦市・牛久市・阿見町・稲敷市・美浦村・かすみがうら市・石岡市など)のお客様から寄せられます。農地の売却は、宅地や建物の売却と違って農地法という法律の許可・届出が絡み、「誰が」「何のために」買うかによって手続きが変わります。さらに、生産緑地に指定された農地では、指定から30年が経過したかどうかで税金の扱いが大きく変わることもあります。この記事では、県南エリアで農地・生産緑地を売却する際に押さえておきたい農地法3条・5条の違い、生産緑地の30年ルール、相場の考え方、仲介と買取の選び方、費用と税金、よくある質問までをまとめました。
県南エリアで農地・生産緑地の売却が増えている背景
つくばエクスプレスの開業や圏央道の延伸で、県南エリアは都市化が進む一方、旧集落や郊外部には今も多くの農地が残っています。相続をきっかけに「農業を継ぐ人がいない」「実家の敷地に田畑がついていた」という理由で、農地の売却を検討する方が増えています。特につくば市・土浦市・牛久市・阿見町などは市街化区域と市街化調整区域が入り組んでおり、同じ市内でも農地の扱いが大きく異なるのが特徴です。
市街化区域の農地と市街化調整区域の農地は別物
市街化区域内の農地は、都市計画法上「今後10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」に含まれているため、転用の手続きが比較的簡素(農業委員会への届出で足りる)です。一方、市街化調整区域の農地は「市街化を抑制すべき区域」にあるため、転用には都道府県知事(または指定市町村の長)の許可が必要で、許可が下りない場合もあります。売却を検討する際は、まず自分の農地がどちらの区域にあるかを、各市町村の都市計画課やインターネット地図サービスで確認することが第一歩です。
農地法3条・4条・5条の違いをやさしく解説
農地の売買・転用には「農地法」という法律が関わります。特に売却時に関係するのが3条・4条・5条です。数字の違いで許可権者や必要な手続きが変わるため、混同しないことが大切です。
第3条|農地のまま売買・貸借する場合
農地を農地のまま、つまり転用せずに売買・貸借する場合に適用されるのが農地法第3条です。買い手が農業を営む個人・法人であることが前提で、許可権者は原則として各市町村の農業委員会です。2023年4月1日の法改正で、これまで存在した「農地取得には一定面積以上の農地を持っている(下限面積要件)」という条件が撤廃されたため、新規に農業を始めたい人でも農地を取得しやすくなりました。ただし、農地全体を効率的に利用すること、周辺の農地利用に支障がないことなど、他の要件は引き続き審査されます。
第4条|自分の農地を自分で転用する場合
農地の所有者が、その農地を農地以外(宅地・駐車場など)に転用する場合に適用されるのが第4条です。売買を伴わないため、農地の相続人が「この土地に家を建てたい」というようなケースで使われます。許可権者は原則として都道府県知事、または農林水産大臣が指定した市町村(指定市町村)の長です。
第5条|転用を目的に売買・貸借する場合
「農地を宅地に転用したうえで、非農家に売却する」というように、権利移動と転用の両方が同時に発生する場合に適用されるのが第5条です。県南エリアで農地を売却する相談の多くは、実質的にこの第5条のケースに当てはまります。許可権者は第4条と同様に知事または指定市町村の長ですが、市街化区域内の農地であれば、許可ではなく農業委員会への「届出」で手続きが完了します。
茨城県では県南エリアの全市町村が「指定市町村」
2022年4月1日から、4ヘクタール以下の農地転用に関する許可権限は、茨城県内のすべての市町村(つくば市・土浦市・牛久市・阿見町・稲敷市・かすみがうら市・石岡市など県南エリアを含む)に移譲されています(農林水産省「指定市町村の指定状況」より)。そのため、多くの農地売却案件では県ではなく市町村の窓口が許可権者になる点を押さえておくと、相談先を迷わずに済みます。4ヘクタールを超える大規模な農地の転用は、引き続き茨城県知事の許可が必要です。

生産緑地に指定された農地の売却で押さえておきたいこと
県南エリアの市街化区域内には、都市計画で「生産緑地地区」に指定されている農地があります。生産緑地は、良好な都市環境を保つ目的で市街化区域内の農地の営農を継続させる制度で、指定を受けると固定資産税が農地課税(宅地並み課税の目安として概ね100分の1程度に軽減)となる代わりに、原則30年間は農地として維持する義務(建築行為や転用の制限)を負います。
「30年ルール」と買取申出制度
生産緑地の指定から30年が経過すると、所有者は市町村に対して土地の買取りを申し出ることができるようになります(買取申出制度)。市町村が買い取らない場合は、他の農業希望者へのあっせんを経て、それでも決まらなければ指定が解除され、通常の宅地並み課税に切り替わります。この「指定から30年」という節目は全国的に2022年前後に集中したため「生産緑地の2022年問題」と呼ばれましたが、指定の時期は地区ごとに異なるため、自分の土地がいつ30年を迎えるかは個別に確認が必要です。
指定解除を先延ばしできる「特定生産緑地」制度
30年が経過する前に申請することで、買取申出が可能になる時期を10年間先延ばしできる「特定生産緑地」制度もあります。所有者の同意があれば、その後も10年ごとに繰り返し延長が可能です。売却するか営農を続けるか迷っている場合、特定生産緑地への切り替えで判断を先送りするという選択肢もあることを知っておくと安心です。
相続税の納税猶予を受けている農地は要注意
農業を引き継ぐ相続人が、一定の要件を満たして相続税の納税猶予の特例を受けている農地では、その農地を譲渡・転用すると猶予が打ち切られ、猶予されていた相続税に加えて利子税をあわせて納付しなければならないケースがあります(国税庁「農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例」より)。納税猶予を受けているかどうかは相続税の申告内容によるため、売却を検討する前に必ず申告時の書類や税理士に確認することをおすすめします。
農地を売る3つのルート
県南エリアで農地を手放す方法は、大きく分けて3つのルートがあります。
ルート1|農地のまま農家に売る(第3条)
農地を農地のまま、近隣の農家や農業法人に売却する方法です。転用の許可が不要な分、手続きは比較的シンプルですが、買い手となる農家を自分で見つける必要があり、購入希望者が現れにくいという難点もあります。
ルート2|転用してから非農家に売る(第5条)
宅地や駐車場などに転用したうえで、農業をしていない方に売却する方法です。許可や届出の手続きに時間がかかることがありますが、買い手の対象が広がるため、立地によっては高値での売却が期待できます。造成費用が発生する場合もあるため、費用対効果を見極める必要があります。
ルート3|現況のまま買取業者に売る
当社のような不動産買取専門店が、農地としての現況のまま、または転用手続きを前提に買い取るケースです。仲介と違い、買い手を探す期間が不要なため、現金化までのスピードが早いのが特徴です。転用の可否や許可申請の見通しについても、地域の実務に詳しい担当者が事前に整理したうえでご提案します。「農地法の手続きが複雑でよく分からない」という場合は、まず現況のまま相談できる買取窓口に問い合わせるのも一つの方法です。
査定の種類|机上査定と訪問査定
農地であっても、通常の宅地や建物と同様に、査定には机上査定(簡易査定)と訪問査定の2種類があります。
机上査定(簡易査定)
登記情報や公示地価、周辺の取引事例などのデータをもとに、概算の価格を算出する方法です。現地訪問が不要なため、まず大まかな相場感をつかみたいという方に向いています。ただし、農地は区画の形状や進入路の有無、生産緑地指定の有無などによって評価が大きく変わるため、机上査定の金額はあくまで目安です。
訪問査定
実際に現地を確認し、土地の形状・接道状況・周辺の土地利用状況・生産緑地指定の有無・都市計画区域の区分などを踏まえて、より精度の高い価格を算出する方法です。農地の売却を具体的に検討する段階では、訪問査定を受けることをおすすめします。

農地・生産緑地を売却するまでの流れ
農地の売却は、通常の不動産売却に「農地法の許可・届出」というステップが加わります。おおまかな流れは次の通りです。
ステップ1|土地の状況を確認する
登記事項証明書・公図・都市計画図で、市街化区域か市街化調整区域か、生産緑地の指定があるかを確認します。相続した土地の場合は、相続登記が済んでいるかもあわせて確認しましょう。
ステップ2|査定を依頼する
不動産会社に机上査定・訪問査定を依頼し、農地のまま売る場合と転用して売る場合の両方の価格イメージをつかみます。
ステップ3|売却方法を決める(仲介・買取)
買い手を広く探す仲介にするか、当社のような買取専門店にスピード重視で売却するかを決めます。
ステップ4|買主を確定し、農地法の許可・届出を申請する
買主が決まったら、3条・4条・5条のいずれに該当するかを整理し、農業委員会または都道府県知事(指定市町村の長)へ許可申請、または市街化区域であれば届出を行います。許可が下りるまでは所有権移転登記ができない点に注意が必要です。
ステップ5|売買契約・決済・引き渡し
許可(または届出の受理)が完了したら、正式な売買契約を締結し、代金決済と土地の引き渡しを行います。
仲介と買取、どちらを選ぶべきか
仲介のメリット・デメリット
仲介は、不動産会社が広く買い手を探すため、農地として、あるいは転用後の宅地として、より高い価格での売却が期待できる点がメリットです。一方で、農地は宅地に比べて買い手が見つかりにくく、売却までに時間がかかりやすい、農地法の許可手続きが売買契約と並行して進むため一般の売買よりスケジュールが読みにくい、という点がデメリットとして挙げられます。
買取のメリット・デメリット
買取は、当社のような専門業者が直接買い取るため、買い手を探す期間が不要で、早期の現金化が可能です。転用の可否や許可手続きの進め方についても、実務に慣れた担当者がサポートするため、初めて農地を売却する方でも進めやすいのが特徴です。デメリットとしては、一般的に仲介による売却よりも価格は低くなる傾向がある点が挙げられます。「多少価格が下がっても早く・確実に手放したい」という方には買取が、「時間をかけてでも良い条件で売りたい」という方には仲介が向いています。
費用と税金|農地売却でかかるお金
仲介手数料の速算式
仲介で売却した場合の仲介手数料(上限)は、売買価格が400万円を超える部分について「売買価格×3%+6万円(+消費税)」という速算式で計算するのが一般的です。買取の場合は不動産会社が直接の買主となるため、仲介手数料は発生しません。
登記費用・印紙税
所有権移転登記にかかる登録免許税、売買契約書に貼付する印紙税なども必要です。相続登記が未了の場合は、先に相続登記の費用(登録免許税・司法書士報酬など)も発生します。
譲渡所得税の基本
農地を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合は、譲渡所得税・住民税が課税されます。税率は所有期間が5年を超える「長期譲渡所得」で20.315%、5年以下の「短期譲渡所得」で39.63%です。相続した農地の場合、被相続人の取得時期を引き継ぐため、長期譲渡になるケースが多くなります。
相続空き家の特例は農地単体には使えない点に注意
相続した「空き家」の売却で使える3,000万円特別控除は、建物とその敷地が対象のため、建物が建っていない農地単体には適用されません。農地の売却で税負担を抑えたい場合は、取得費加算の特例(相続開始から3年10か月以内に売却した場合に、支払った相続税の一部を取得費に加算できる特例)が使えるかどうかを確認するとよいでしょう。適用要件は個別の状況により異なるため、税理士への確認をおすすめします。
売却理由別に見る、農地売却の注意点
相続で農地を引き継いだが農業をする予定がない
最も多いご相談です。相続登記を済ませたうえで、農地のまま売る(第3条)か、転用して売る(第5条)かを検討します。相続税の納税猶予を受けていないかを必ず確認したうえで進めましょう。
耕作をやめて長期間放置している
耕作放棄地は雑草やイノシシなどの獣害の温床になりやすく、近隣とのトラブルにつながることもあります。売却が難しい場合は、農地バンク(農地中間管理機構)への貸付けという選択肢もあわせて検討する価値があります。
生産緑地の営農者が高齢・病気で継続が難しい
生産緑地は、主たる従事者が死亡した場合や、病気・怪我で農業に従事できなくなったと市区町村が認めた場合には、30年を待たずに買取りの申出ができる特則があります。該当する可能性がある場合は、早めに市町村の担当窓口に相談することをおすすめします。
共有名義の農地を整理したい
相続で兄弟姉妹の共有名義になった農地は、売却の意思決定に共有者全員の同意が必要になり、話がまとまりにくいことがあります。共有名義の整理は不動産会社だけでなく、司法書士・弁護士との連携が必要になる場合もあります。
県南エリアの地域事情
つくば市|研究学園都市と旧集落の農地が混在
つくば市は研究学園エリアなどの市街化区域と、旧来の集落が広がる市街化調整区域が混在する街です。相続で引き継いだ実家の敷地に、旧集落特有の田畑が付随しているケースが多く見られます。
土浦市・石岡市・かすみがうら市|霞ヶ浦沿岸の農業地帯
霞ヶ浦沿岸のこれらの市は、れんこん栽培をはじめとする農業が盛んな地域で、相続を機に農地の扱いに悩む方が少なくありません。
牛久市・阿見町|圏央道沿いの土地需要と農地転用
圏央道の開通やアウトレットの開業などで人口が増加傾向にある牛久市・阿見町では、農地を宅地や事業用地へ転用する動きも見られます。市街化調整区域内の農地は転用の可否が立地に大きく左右されるため、事前確認が重要です。
ハウスドゥ つくば研究学園都市店が選ばれる理由
宅建業法に基づく根拠明示の査定
宅地建物取引業法第34条の2第2項では、不動産会社が売主に対して、査定価格の根拠を明示することが義務付けられています。当店では、公示地価や周辺の取引事例など、金額の裏付けとなるデータをもとに査定理由をご説明します。
買取専門店として現況のまま相談を受け付け
「農地法の手続きがよく分からない」「転用できるかどうかも分からない」という段階からのご相談も歓迎です。現況のまま買取のご相談を承り、転用の可否や許可の見通しについても整理してご提案します。
地域密着で県南エリアの土地事情に詳しい
つくば市を拠点に県南エリア全域での売却相談に対応しており、市街化区域・市街化調整区域の別、生産緑地の指定状況など、地域特有の事情を踏まえたご提案が可能です。
まずは無料査定・ご相談ください
農地・生産緑地の売却は、通常の不動産売却より確認すべき事項が多く、一人で判断するのは難しいものです。「そもそも売れるのか分からない」という段階でも構いませんので、まずはお気軽にご相談ください。
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よくある質問
Q. 農地は農業をしていない人でも買えますか?
A. 2023年4月の農地法改正で「下限面積要件」が撤廃されたため、農業をしていない方でも農地を取得しやすくなりました。ただし、取得後に農地全体を効率的に利用することなど、他の要件は審査されます。転用して宅地等にする場合は、第5条の許可(または市街化区域なら届出)が必要です。
Q. 農地のまま売るのと、転用してから売るのとでは、どちらが高く売れますか?
A. 一般的には、宅地等に転用してからのほうが買い手の対象が広がるため、高値での売却が期待できます。ただし転用には造成費用や時間がかかることがあり、必ずしも転用したほうが手取り額が多くなるとは限りません。個別の土地の状況に応じて試算することをおすすめします。
Q. 生産緑地に指定されている農地は、いつでも売却できますか?
A. 生産緑地は原則として指定から30年が経過するまで、建築行為や転用が制限されます。30年経過後、または主たる従事者の死亡・病気等の事情があれば、市町村に買取りを申し出ることができます。指定からの経過年数は地区ごとに異なるため、市町村の都市計画担当課に確認してください。
Q. 相続した農地に、相続税の納税猶予がついているかどうかは、どこで確認できますか?
A. 相続税の申告時に納税猶予の特例を選択した場合、申告書にその旨が記載されています。申告を担当した税理士に確認するか、書類が手元にない場合は税務署へご相談ください。納税猶予中の農地を譲渡・転用すると、猶予が打ち切られ利子税が発生することがあるため、売却前に必ず確認しましょう。
Q. 農地の売却にかかる期間はどれくらいですか?
A. 仲介の場合、買い手探しに加えて農地法の許可手続きが必要なため、宅地の売却より長くかかる傾向があり、数か月から1年程度を見込むケースもあります。買取の場合は、許可手続きの見通しが立てば比較的短期間での現金化が可能です。
Q. 市街化調整区域の農地でも売却できますか?
A. 売却自体は可能ですが、転用の許可が下りにくい区域もあるため、農地のまま農家に売却する、あるいは現況のまま買取業者に相談するなど、選択肢を広げて検討することをおすすめします。
Q. 農地の売却を相談する際、事前に用意しておくとよい書類はありますか?
A. 登記事項証明書(登記簿謄本)、公図、固定資産税の納税通知書、生産緑地に指定されている場合はその通知書などがあると、査定や許可手続きの見通しをスムーズに立てやすくなります。お手元に無い場合でも、まずはご相談ください。
県南エリアで農地・生産緑地の売却をお考えの方は、農地法の手続きや税金の扱いなど、専門的な判断が必要な場面が多くあります。ハウスドゥ つくば研究学園都市店では、現況のご相談から許可手続きの見通しまで、地域密着で丁寧にサポートいたします。一人で悩まず、まずはお気軽にお問い合わせください。
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