この記事の結論:共有物分割請求とは、共有している不動産の共有関係を解消するために、他の共有者へ「分けたい」と求める法律上の権利です。話し合い(協議)で解決できなければ、調停や共有物分割訴訟に進み、裁判所が現物分割・価格賠償・競売分割のいずれかを決めます。実務では、共有者全員で不動産を売却し、代金を持分割合で分ける「換価分割」が最も公平で、トラブルも少ない方法です。
「兄弟で相続した実家を、誰も住まないのに共有のままにしている」「離婚後も元配偶者と家が共有名義のまま」「共有者が売却に反対して前に進めない」。そんなお悩みで、共有物分割請求を調べている方は少なくありません。この記事では、共有物分割請求の意味・方法・流れ・費用・拒否されたときの対処法を、つくば市で不動産売却のご相談を受けるハウスドゥ つくば研究学園都市の視点でわかりやすく整理します。
目次
- 共有物分割請求とは
- 共有物分割請求ができる人・できないケース
- 共有物分割の4つの方法
- 共有物分割請求の流れ(協議・調停・訴訟)
- 共有物分割請求の費用・訴額・弁護士費用
- 共有物分割請求を拒否されたら
- 競売になるデメリットと回避策
- 共有不動産を売却して解決する方法
- 税金と注意点
- つくば市で共有不動産を売却するなら
- よくある質問
共有物分割請求とは?意味と根拠となる法律
共有物分割請求の基本的な意味
共有物分割請求とは、1つの不動産を複数人で所有している(共有している)状態を解消するため、共有者の1人が他の共有者に対して「共有物を分けてほしい」と求めることをいいます。共有名義の土地や建物は、売却・建替え・大規模な修繕などをするときに、原則として共有者全員の同意が必要となり、意見が割れると動かせなくなってしまいます。この「身動きが取れない状態」から抜け出すための手段が、共有物分割請求です。
民法256条・258条が定めるルール
共有物分割請求は、民法256条に「各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる」と定められています。協議で決まらない場合は、民法258条により裁判所に分割を請求できます。令和5年(2023年)4月施行の民法改正では、裁判所が価格賠償(金銭で調整する方法)を命じられることが条文上明確になり、競売を命じる要件も整理されました。法改正の内容は今後も更新される可能性があるため、最新の情報は法務省や裁判所の公開情報、専門家に確認してください。
共有物分割と「持分の売却」の違い
共有物分割請求は「不動産全体の共有関係をなくす」手続きです。一方、自分の持分だけを第三者に売る「持分売却」は、自分は共有から抜けられますが、残った共有者との関係はそのまま続きます。両者は目的も手続きも異なるため、混同しないようにしましょう。
共有物分割請求ができる人・できないケース
請求できる人は共有者なら誰でも
共有名義の不動産では、持分の大小にかかわらず、共有者であれば誰でも請求できます。持分が1割しかなくても、過半数の共有者に反対されていても、請求自体は可能です。相続で兄弟姉妹が共有している場合、離婚後も夫婦の共有名義のままの場合、親から子へ贈与した持分が複数人にまたがる場合などで利用されます。
5年以内の不分割特約があるとき
共有者の間で「5年を超えない期間は分割しない」と合意(不分割特約)している場合、その期間中は請求できません。この特約は更新できますが、1回につき5年が上限です。契約書や合意書を確認しましょう。
相続開始から10年を過ぎた遺産共有の場合
相続した財産が共有状態になっている場合(遺産共有)、通常は家庭裁判所での遺産分割が先になります。ただし、相続開始から10年を経過すると、一定の要件のもとで通常の共有物分割の手続きを利用できる場合があります(民法258条の2)。相続不動産をお持ちの方は、期限と要件を早めに確認しておくと安心です。つくば市の相続不動産については、つくば市の訳あり物件・空き家売却のページもご覧ください。
共有物分割の4つの方法と選ばれる基準
共有物の分け方は、おもに次の4つです。協議でも裁判でも、基本的にはこの中から選びます。

現物分割|土地を分けて、それぞれ単独所有にする
土地を分筆(登記上で複数の土地に分けること)し、共有者がそれぞれ単独所有する方法です。広い土地に向いていますが、建物が建っている場合や、分けた結果、建築基準法の接道義務を満たさない土地ができてしまう場合は難しくなります。
価格賠償(代償分割)|1人が取得して金銭で調整する
特定の共有者が不動産を取得し、その代わりに他の共有者へ持分相当の金銭を支払う方法です。自宅に住み続けたい共有者がいる場合に使われます。取得する側に支払い能力が必要で、不動産の評価額をめぐって争いになりやすい点に注意が必要です。
換価分割|売却して代金を持分割合で分ける
共有不動産を第三者に売却し、売却代金から諸費用を差し引いた金額を持分割合に応じて分ける方法です。不動産会社を通じて市場価格に近い価格で売れる可能性が高く、公平性も確保しやすいため、実務でもっとも選ばれやすい方法です。
競売分割|裁判所の判断で競売にかける
現物分割も価格賠償も難しい場合に、裁判所が競売による分割を命じることがあります。市場価格より安く落札されやすいため、最終手段と考えておくのがよいでしょう。競売の仕組みは不動産の競売とは?仕組み・流れ・期間でも解説しています。
共有物分割請求の流れ|協議から訴訟・判決まで

ステップ1:共有者どうしで話し合う(協議)
まずは共有者全員で、どの方法で分けるかを話し合います。不動産会社に査定を依頼して客観的な価格を示すと、価格賠償や売却の話し合いが進めやすくなります。協議がまとまったら、内容を書面(協議書)にして、全員が署名・押印しておきましょう。
ステップ2:内容証明郵便で分割を請求する
話し合いが進まない場合、「共有物の分割を請求します」という意思を内容証明郵便で伝える方法があります。法律上必須ではありませんが、請求した日付や内容が記録に残るため、後の調停や訴訟で役立ちます。
ステップ3:調停(任意)
裁判所に民事調停を申し立て、調停委員を交えて話し合う方法です。共有物分割請求では、調停を経なければ訴訟を起こせないという決まり(調停前置)はありませんが、話し合いでの解決を目指して調停を挟むケースもあります。
ステップ4:共有物分割訴訟を起こす
協議が整わなければ、共有物分割訴訟(共有物分割請求訴訟)を提起します。管轄は、原則として被告の住所地や不動産の所在地を管轄する裁判所で、訴額に応じて簡易裁判所または地方裁判所になります。訴状には「請求の趣旨」(どのような分割を求めるか)を記載します。共有者全員が当事者となるため、共有者が多いほど手続きは複雑になります。
ステップ5:判決と分割の実行
裁判所は、共有者の希望、不動産の性質、利用状況などを総合的に考慮して分割方法を決め、判決を出します。判決に不服があれば控訴できますが、確定すれば登記や競売の手続きに進みます。判決の内容は、過去の判例の傾向も参考にしながら決まります。
共有物分割請求の費用・訴額・弁護士費用
訴訟にかかる主な費用
| 項目 | 目安・内容 |
|---|---|
| 収入印紙代 | 訴額に応じて決まる。訴額500万円で3万円前後、1,000万円で5万円前後が目安 |
| 郵便切手代(予納郵券) | 共有者の人数に応じて数千円〜1万円台。裁判所ごとに異なる |
| 弁護士費用 | 着手金・報酬金などで数十万円以上になることが多い。事務所により異なる |
| 鑑定費用 | 不動産鑑定が必要な場合に別途かかる |
※上記は一般的な目安です。実際の金額は事案により異なりますので、裁判所や弁護士にご確認ください。
共有物分割請求の訴額の考え方
訴額は、一般に目的物の価額の2分の1として扱う運用があります。固定資産評価額などを基準に算出するため、評価額が高い不動産ほど印紙代も増えます。
費用を抑えるコツ
費用を抑える最も確実な方法は、訴訟になる前に協議で合意することです。共有者全員が売却に同意すれば、訴訟費用や弁護士費用をかけずに不動産を現金化できます。不動産会社の無料査定を活用して、まずは価格の目安を共有者全員で確認しましょう。
共有物分割請求を拒否されたら?
拒否されても請求権は消えない
共有者が分割を拒否しても、共有物分割請求の権利が失われるわけではありません。協議で決まらない場合は、調停や訴訟に進めば、裁判所が分割方法を判断します。
拒否が続く場合の現実的な選択肢
拒否された場合の選択肢は、①自分の持分のみを売却する、②他の共有者の持分を買い取る、③共有物分割訴訟を起こす、の3つが中心です。訴訟は時間も費用もかかるため、まずは専門家に相談し、感情的な対立を避ける方法を探すことをおすすめします。
共有者が所在不明・連絡が取れない場合
令和5年の民法改正により、所在がわからない共有者がいる場合に、裁判所の決定を得て、その共有者の持分を取得したり、不動産全体を売却したりできる制度(民法262条の2・262条の3)が設けられました。共有者の行方がわからず困っている場合は、弁護士や司法書士に相談しましょう。
競売になるデメリットと回避策
競売分割の4つのデメリット
- 市場価格より安い価格で落札される可能性がある
- 売却代金から手続き費用が差し引かれる
- 売却のタイミングや価格を自分たちで決められない
- 共有者の1人が自己競落(自分で落札)することで、他の共有者と取り分に差が出る場合がある
競売を避けるための3つの方法
競売を避けるには、①共有者全員で任意売却(換価分割)に同意する、②特定の共有者が他の共有者の持分を買い取る(価格賠償)、③持分を買取業者へ売却して共有から離脱する、といった方法があります。いずれも、早めに不動産会社へ査定を依頼し、現実的な価格を把握することが出発点です。
共有不動産を売却して解決する方法
全員の同意で一括売却する(換価分割)
共有不動産を全体として売却するには、共有者全員の同意が必要です。全員が同意すれば、通常の不動産売却と同じ流れで進められ、売却代金を持分割合に応じて分配できます。一括売却のほうが、持分だけを売るよりも高く売れるケースが一般的です。共有名義の売却の流れはつくば市の共有名義 不動産売却|方法・税金・注意点で詳しく解説しています。
自分の持分だけを売却する
自分の持分のみであれば、他の共有者の同意なしに売却できます。ただし、共有持分だけでは買い手が限られ、買取価格は大きく下がる傾向があります。持分売却後は、買主が新たな共有者となり、他の共有者とのトラブルになる場合もあるため、事前の説明や配慮が大切です。
他の共有者へ持分を買い取ってもらう
他の共有者に持分を買い取ってもらえれば、トラブルを避けながら現金化できます。価格は、不動産会社の査定や不動産鑑定をもとに、双方が納得できる水準で決めるのが基本です。
離婚・相続など、事情別の進め方
離婚で共有名義のままになっている場合は、住宅ローンの残債や財産分与も絡みます。詳しくはつくば市の離婚と家|財産分与と整理法をご覧ください。相続の場合は、相続人全員の合意と相続登記が先に必要です。いずれの場合も、感情が絡みやすいため、第三者である不動産会社や専門家に間に入ってもらうとスムーズです。
共有物分割と税金・注意点
売却した場合の譲渡所得税
共有不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、共有者それぞれが、持分に応じた所得について確定申告を行います。所有期間が5年を超える長期譲渡所得の税率は、所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて20.315%、5年以内の短期譲渡所得は39.63%が目安です。自宅を売却する場合は、居住用財産の3,000万円特別控除を、要件を満たす共有者がそれぞれ利用できる可能性があります。
価格賠償・代償分割での税金
価格賠償や代償分割で金銭のやり取りが発生する場合、内容によっては譲渡所得の課税対象となることがあります。ケースにより扱いが異なるため、税理士や税務署に確認しましょう。
登記と書類の準備
共有物の分割や売却では、持分移転登記や分筆登記が必要になる場合があります。登記は司法書士、土地の分筆は土地家屋調査士の専門分野です。事前に登記簿謄本(登記事項証明書)を取得し、現在の共有者と持分割合を確認しておきましょう。
つくば市で共有不動産を売却するなら|ハウスドゥ つくば研究学園都市
つくば市は、つくばエクスプレス沿線の研究学園駅・みどりの駅周辺や、つくば駅周辺、谷田部エリアなど、エリアによって不動産の需要や価格帯が異なります。共有名義の不動産でも、立地や状態によっては、共有者全員で売却することで、競売よりも納得感のある価格での解決が期待できます。
ハウスドゥ つくば研究学園都市では、買取専門店として、共有名義・相続・離婚・空き家など、売却に悩みを抱える不動産のご相談に対応しています。まずは無料査定で、不動産の現在の価値を確認することから始めましょう。弁護士・司法書士・税理士などの専門家とも連携し、法律・登記・税金の確認が必要な場合は、適切な窓口をご案内します。詳しい売却の流れや費用はつくば市の不動産売却相場・流れ・費用と税金を徹底解説もご覧ください。
共有物分割請求のよくある質問(FAQ)
Q. 共有物分割請求とは何ですか?
A. 共有している不動産などについて、共有者が他の共有者に対し「共有関係を解消して分けたい」と求める権利です。民法256条により、原則として各共有者はいつでも請求できます。話し合いがまとまらなければ、裁判所に共有物分割訴訟を起こして分け方を決めてもらいます。
Q. 共有物分割請求を拒否されたらどうなりますか?
A. 共有者が拒否しても、請求そのものを無効にすることはできません。協議が整わないときは調停や共有物分割訴訟に進み、裁判所が現物分割・価格賠償・競売分割などの方法を決めます。ただし、5年以内の不分割特約がある場合など、請求できない例外もあります。
Q. 共有物分割請求の費用はいくらかかりますか?
A. 訴訟では、収入印紙代と郵便切手代などの実費に加え、弁護士に依頼する場合は着手金・報酬金がかかります。印紙代は訴額によって決まり、目安として訴額500万円で3万円前後、1,000万円で5万円前後です。弁護士費用は事務所や難易度によって大きく異なるため、見積もりを取って確認してください。
Q. 共有物分割請求の訴額はどのように計算しますか?
A. 一般に、共有物分割訴訟の訴額は目的物の価額の2分の1として扱う運用が知られています。目的物の価額は固定資産評価額などを基準に算出するため、具体的な金額は管轄の裁判所や弁護士に確認してください。
Q. 共有物分割請求の訴訟の期間はどれくらいですか?
A. 事案の複雑さや共有者の人数、鑑定の有無によって異なりますが、1年前後かかることも珍しくありません。判決後に競売や登記手続きまで進めば、さらに時間がかかります。早期解決を望むなら、訴訟前の協議や売却による解決も検討してください。
Q. 共有物分割請求で競売になると不利ですか?
A. 競売では市場価格より低い価格で落札されやすく、共有者全員の取り分が減る可能性があります。そのため、任意売却(換価分割)や、特定の共有者が他の共有者の持分を買い取る価格賠償で解決できないか、先に検討する価値があります。
Q. 共有持分だけを売却することはできますか?
A. 自分の持分のみであれば、他の共有者の同意なく売却できます。ただし、買い手が限られるため価格は不動産全体の持分割合分より低くなりやすく、売却後は買主が新たな共有者となります。共有者全員で一括売却したほうが高く売れるケースが多いです。
Q. 相続した実家の共有を解消したいときはどうすればよいですか?
A. まずは相続人全員で話し合い、売却して代金を分ける換価分割が最も公平で進めやすい方法です。相続開始から10年を経過すると、民法の改正により遺産分割についても共有物分割の手続が使えるようになる場合があります。まずは専門家へ相談してください。
共有トラブルを防ぐ管理の考え方と、裁判前の交渉のコツ
単独で判断できること・できないこと
共有不動産の「管理」(賃貸や利用方法の決定など)は、持分の過半数の同意で決められます。一方、売却や大規模な変更は共有者全員の同意が必要です。単独で判断できる範囲を整理しておくと、無用なトラブルを避けられます。
話し合い・交渉で希望を整理するポイント
裁判に進む前の協議・交渉では、各共有者の希望(住み続けたい、早く現金化したい、土地を残したい)を書き出し、対立点を明確にすることが大切です。希望が異なる場合でも、売却代金を持分割合で分ける換価分割なら、全員が一定の納得感を得やすくなります。
裁判を提起する前に確認したい3つの状況
共有物分割訴訟を提起する前に、①共有者全員の氏名・住所と持分割合、②不動産の現在の状態や利用状況、③各共有者の支払い能力(価格賠償や代償ができるか)を確認しましょう。解決までの時間と費用を見積もったうえで、弁護士事務所などの専門家へ相談するかを判断します。
共有を解消したあと、再び共有にならないために
分割後は、できるだけ単独所有にして管理の権利関係をシンプルにしておくことが重要です。相続が絡む場合は、早めに遺言や家族信託を活用して、将来の共有状態そのものを防ぐ方法もあります。
まとめ|共有物分割請求は「話し合い」と「売却」を軸に考える
共有物分割請求は、共有状態を解消するための強い権利ですが、訴訟になれば時間も費用もかかり、競売で価格が下がるリスクもあります。まずは協議で、共有者全員が納得できる方法を探し、不動産会社の査定で価格の目安を共有することが、解決への近道です。共有名義の不動産でお困りの方は、ハウスドゥ つくば研究学園都市へお気軽にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律相談に代わるものではありません。法改正や運用は変わる可能性があるため、具体的な手続きは弁護士・司法書士・税理士等の専門家にご確認ください。
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