不動産の査定を調べていると、必ず「机上査定」と「訪問査定」という2つの言葉が出てきます。机上査定(きじょうさてい)とは、不動産会社が現地を見ずに、住所・面積・築年数などのデータと近隣の取引事例から概算の価格を出す査定のことです。「簡易査定」と呼ばれることもあります。
インターネットで検索すると「机上査定は意味がない」と書いているサイトもあります。ですが、当社の実務感覚では机上査定が役に立つ場面ははっきりあります。とくにご実家が茨城県にあり、ご自身は東京や県外にお住まいという相続のご相談では、机上査定が最初の一歩になることがほとんどです。
この記事では、机上査定で分かること・分からないことを具体的に整理し、どういう方が机上査定を使うべきで、どういう方は最初から訪問査定にすべきかをお伝えします。あわせて、そもそも査定を依頼せずに、匿名で相場を調べる方法も正直にご案内します。
机上査定とは?現地を見ずにデータで出す査定のこと
机上査定で使われる情報
机上査定では、主に次のような情報から価格を算出します。
- 所在地(最寄駅からの距離、用途地域)
- 土地面積・建物面積・間取り・構造
- 築年数
- 近隣で実際に成約した類似物件の価格(取引事例比較法)
- 公示地価・路線価などの公的な価格指標
- マンションの場合は、同じマンション内・近隣の成約事例
つまり「その物件そのもの」ではなく「その条件の物件なら、いくらくらい」を出しているのが机上査定です。ここを理解しておくと、後々の食い違いを防げます。
かかる時間と費用
会社にもよりますが、依頼から当日〜3営業日程度で回答が出ることが一般的です。費用は無料の会社がほとんどで、当社も無料です。現地に立ち会う必要も、家を片付ける必要もありません。
「簡易査定」「AI査定」との関係
「簡易査定」は机上査定とほぼ同じ意味で使われます。一方「AI査定」は、担当者が介在せず、過去データから機械的に算出するものです。より手軽ですが、その物件固有の事情はいっさい反映されません。机上査定は、担当者が地域の実勢を踏まえて調整を加える点で、AI査定とは分けて考えてください。
机上査定では分からない8つのこと
ここが本記事の核心です。訪問査定で金額が動く要因=机上査定では分からないことです。「訪問してもらったら金額が下がった」という経験談の多くは、次のどれかに当てはまります。

1|境界が確定しているか
隣地との境界が確定していない土地は、買主が住宅ローンを組みにくく、確定測量を求められるのが通例です。確定測量には隣地所有者の立ち会いが必要で、費用は35〜80万円程度、期間も3か月前後かかることがあります。この費用と時間は、そのまま価格の交渉材料になります。
2|隣地との越境
屋根の庇、ブロック塀、樹木の枝、給排水管。越境があると、覚書の取り交わしが必要になります。図面上では絶対に分かりません。
3|建物の傾き・雨漏り・シロアリ
築年数のデータだけでは、建物の実際の状態は分かりません。同じ築30年でも、手入れをされてきた家とそうでない家では価格が変わります。逆に言えば、丁寧に住まれてきた家は訪問査定で評価が上がることもあります。
4|再建築不可かどうか
建築基準法上の道路に2m以上接していない土地は、建て替えができません。これは価格に決定的な影響があります。古い分譲地や、旧道沿いの土地では実際に見られます。
5|前面道路と私道の権利関係
前面道路が私道の場合、掘削承諾(水道管やガス管を通す工事の承諾)が得られるかが問題になります。承諾書がないと、買主は工事ができないおそれがあります。
6|土地の高低差・擁壁
道路から高い、低い、古い擁壁がある。造成費用が買主の負担になるため、価格に反映されます。古い擁壁は、作り直しに数百万円かかることもあります。
7|残置物の量
家財道具がそのまま残っている場合、処分費が必要です。一般的な戸建てで数十万円規模になることもあり、その分が査定に反映されます。ただし当社の買取であれば、残置物はそのままの状態でお引き受けできます。
8|室内の状態と設備の寿命
給湯器、水回り、屋根や外壁の状態。買主が入居後すぐに交換が必要な設備が多いほど、価格は下がります。
だから机上査定の金額は「上限に近い数字」になりやすい
ここまでの8項目は、すべて「問題がない前提」で計算されています。したがって、机上査定の金額は実際の成約価格より高めに出る傾向があります。これは机上査定が不正確だからではなく、そういう性質のものだとご理解ください。
「机上査定で3,000万円と言われたのに、訪問査定で2,700万円になった」——このとき問うべきは「なぜ下げたのか」であり、誠実な会社なら、上の8項目のどれが理由かを具体的に説明できます。なお、宅地建物取引業法第34条の2第2項により、価額の根拠を明らかにすることは不動産会社の義務です。遠慮なくお尋ねください。
机上査定が役に立つ5つの場面
「机上査定は意味がない」と書かれているのを見て不安になった方へ。次のような場面では、机上査定こそが適切な選択です。
1|遠方にお住まいで、すぐに現地へ行けない
当社に多いご相談です。ご実家がつくば市や県南にあり、相続人の方は東京・千葉・埼玉、あるいはもっと遠方にお住まい。まず現地へ行くだけで一日仕事になります。
この場合、先に机上査定でおおよその金額を把握し、それから現地へ行く日程を決めるほうが、時間もお金も無駄になりません。当社は、遠方の方には机上での概算をお伝えしたうえで、ご都合に合わせて現地確認の日程を組んでいます。
2|相続人が複数いて、話し合いの土台がほしい
「実家をどうするか」を兄弟姉妹で話し合うとき、金額の目安がないと議論が進みません。売るかどうか決めていない段階でも、机上査定の数字があるだけで話が具体的になります。
ただし、相続人の間で意見が対立している場合は、査定書ではなく不動産鑑定士による鑑定評価が必要になることがあります。当社は、その必要がある場面では正直にそうお伝えします。
3|まだ売ると決めていない
「いずれは売るかもしれないが、今すぐではない」。この段階で訪問査定を頼むと、家を片付け、日程を空け、担当者を家に入れることになります。負担が大きすぎます。まず机上で構いません。
4|住宅ローンの残債と比べたい
住み替えや離婚の場面で、「今売ったら、ローンを返しきれるのか」を知りたいとき。まずは机上査定の概算と、金融機関の残高証明を突き合わせれば、大まかな方向は見えます。
5|複数社の姿勢を比べたい
机上査定の段階でも、会社の姿勢は十分に分かります。金額だけを送ってくる会社か、根拠と前提条件を添えてくる会社か。「現地を見ないと正確には出せませんが、この前提なら」と条件を明示してくる会社は、実務が丁寧です。
逆に、最初から訪問査定にすべき場合
- 売る時期が決まっている——机上の概算では売り出し価格を決められません。
- 空き家になって長い——建物の傷み、雨漏り、シロアリ、庭木。実際に見ないと金額が出せません。
- 境界が分からない、越境がありそう——測量や覚書の要否で、費用も期間も変わります。
- 再建築不可、私道、共有持分など事情がある——一般的な計算式では価格が出ません。
- リフォームや増築をしている——登記されていない増築部分があると、扱いが変わります。
これらに当てはまる場合、机上査定の数字は参考程度とお考えください。
そもそも査定を頼まずに、ご自身で相場を調べる方法
「まだ会社に連絡するのは気が重い」という方へ、正直にお伝えします。個人情報を入力せずに相場を調べる方法があります。
1|国土交通省「不動産情報ライブラリ」で実際の成約価格を見る
国土交通省が運営するサイトで、実際に取引された価格を地域・種別・時期で検索できます。無料で、氏名や連絡先の入力も不要です。広告に出ている「売出価格」は売主の希望額ですが、こちらは実際に成約した価格です。この差を知っているだけで、相場の見方が変わります。
2|公示地価・路線価で土地の水準を確認する
毎年3月に公表される公示地価で、その地点の土地の価格水準が分かります。ただし公示地価は特定の地点の価格であり、ご自宅の価格そのものではありません。あくまで水準の把握にお使いください。
3|現在売り出されている似た物件を見る
不動産ポータルサイトで、同じ地域・似た条件の物件がいくらで出ているかを見ます。ただし「売出価格」であって「成約価格」ではない点にご注意ください。長く売れ残っている物件の価格は、相場より高いということです。
この3つを見たうえで、「自分の家は、この幅のどのあたりか」を知りたくなった段階で査定を依頼する——これがいちばん負担の少ない進め方だと考えています。
つくば市・県南で不動産を売るときの地域事情
同じつくば市内でも、価格の動き方が違います
つくば市は市域が広く、つくばエクスプレスの駅周辺と、それ以外では市場がまったく違います。研究学園駅・つくば駅・みどりの駅・万博記念公園駅の周辺は、TXによる都心へのアクセスを評価する層が買主になります。一方、旧筑波町の地域や谷田部・茎崎の一部では、車が前提の生活圏となり、買主の層も価格帯も変わります。
「つくば市の相場」という一つの数字で説明される査定は、根拠として不十分です。机上査定であっても、どのエリアの、どの事例と比べたのかを確認してください。
県南・県西の市町村では、空き家の扱いが分かれます
土浦市、牛久市、つくばみらい市、下妻市、筑西市、古河市、結城市——解体費用の補助金は、市町村ごとに制度の有無も金額も要件もまったく違い、年間の件数枠が数件しかない市もあります。「隣の市で使えたから、うちでも使えるはず」は通用しません。査定の前後で、必ずお住まいの市町村の制度をご確認ください。当社でもお調べします。
机上査定を依頼するときに用意しておくとよいもの
何もなくても依頼できます。分かる範囲で構いません。
- 住所(地番まで分かると精度が上がります)——固定資産税の納税通知書に記載されています
- 土地面積・建物面積——登記簿または納税通知書で確認できます
- 築年数
- マンションの場合:マンション名、部屋番号、階数、間取り、管理費・修繕積立金の額
- 購入時の売買契約書——取得費の証明になり、税金の面で非常に重要です。査定には必須ではありませんが、この機会に探しておいてください
売却時にかかる費用と税金の目安
査定額がそのまま手元に残るわけではありません。仲介手数料は、売買価格400万円超の場合「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限です。2,000万円で売れた場合は72万6,000円になります。当社の買取であれば、この仲介手数料はかかりません。
そのほか、印紙税、抵当権抹消の登記費用、必要に応じて測量費用や解体費用がかかります。売却益が出た場合の譲渡所得税は、所有期間5年超の長期で20.315%、5年以下の短期で39.63%です(所有期間は売却した年の1月1日時点で判定)。マイホームなら3,000万円特別控除、相続した空き家なら相続空き家の3,000万円特別控除(2027年12月31日までの譲渡が対象)、相続税を納めた方は取得費加算の特例(相続開始の翌日から3年10か月以内)が使える場合があります。取得費が不明だと売却価格の5%が取得費とみなされ、税額が大きく膨らみます。
※税金の適用可否は個別の事情で変わります。税務署または税理士にご確認ください。
机上査定のあと、どうなるのか(正直にお伝えします)
あまり書かれていないことですが、大切な点です。一括査定サイト経由で机上査定を依頼すると、入力した情報が提携する複数の不動産会社に同時に渡ります。その結果、しばらく複数社からの電話やメールが続きます。「金額だけ知りたかった」という方には、これが負担になります。
当社は一括査定サイトを経由していません。お客様の情報を他社にお渡しすることはなく、ご連絡するのは担当者1名のみです。「まだ売ると決めていない」「今回は他社に頼むことにした」というご連絡も、まったく問題ありません。その場でのご決断は求めません。
つくば市の不動産売却は、ハウスドゥ 筑波研究学園都市へ
当社はハウスドゥ 家・不動産買取専門店 筑波研究学園都市として、つくば市を中心に県南・県西の不動産売却・買取のご相談をお受けしています。ハウスドゥは、元プロ野球選手・野球解説者の古田敦也さんをイメージキャラクターに起用しているブランドです。
- 運営会社:株式会社トーマン
- 免許番号:茨城県知事(1)第7579号
- 机上査定・訪問査定とも無料
- 買取専門店として、当社が直接買い取ることができます——仲介手数料は不要、内覧も広告掲載も不要、残置物もそのままで結構です
免許番号は、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」でどなたでもご確認いただけます。どの会社にご相談される場合でも、免許番号の確認はぜひ行ってください。
▶あわせて読みたい:つくば市の不動産売却・買取|ハウスドゥ 筑波研究学園都市(相場・流れ・費用)
よくある質問
机上査定とは何ですか?
不動産会社が現地を見ずに、住所・面積・築年数などのデータと近隣の取引事例から概算価格を算出する査定です。簡易査定とも呼ばれます。多くの場合無料で、当日〜3営業日程度で回答が出ます。
机上査定と訪問査定では、金額はどのくらい違いますか?
一律の差はありません。境界・越境・建物の傷み・残置物・再建築の可否など、現地でしか分からない要因の有無によって決まります。机上査定は「これらに問題がない前提」で計算されるため、実際の成約価格より高めに出る傾向があります。金額が変わった場合は、その理由を具体的に説明してもらってください。
机上査定は意味がないと聞きましたが、本当ですか?
場面によります。売る時期が決まっている、空き家で傷みがある、境界や接道に不安があるという場合は、最初から訪問査定が適切です。一方、遠方にお住まいで現地に行けない、相続人同士の話し合いの土台がほしい、まだ売ると決めていないという段階では、机上査定が有効です。
机上査定を頼むと、しつこく営業されませんか?
一括査定サイト経由の場合、入力情報が提携する複数社に渡るため、複数社から連絡が続くことがあります。ハウスドゥ 筑波研究学園都市は一括査定サイトを経由しておらず、お客様の情報を他社にお渡しすることはありません。ご連絡するのは担当者1名のみです。
査定を頼まずに、自分で相場を調べられますか?
できます。国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、実際に取引された価格を無料・個人情報の入力なしで検索できます。公示地価や、ポータルサイトの売出価格も参考になります。ただし売出価格は売主の希望額であり、成約価格とは異なる点にご注意ください。
机上査定に必要な書類はありますか?
必須ではありません。住所(地番)、土地・建物の面積、築年数が分かれば依頼できます。固定資産税の納税通知書があると多くの情報がそろいます。マンションの場合はマンション名・部屋番号・階数・間取りをお知らせください。
机上査定の金額で売ってもらえますか?
机上査定は現地を見ずに出した概算であり、売却を保証する金額ではありません。実際に売り出す価格は訪問査定を経て決めます。なお当社の買取査定は、現地確認のうえでお出しした金額が確定した支払額となり、あとから下がることはありません。
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