「広い土地の一部だけを売りたい」「庭の半分を手放して老後資金にしたい」——つくば市でこうしたご相談をよくいただきます。

調べると必ず「分筆が必要です」と出てきます。それ自体は正しいのですが、実は分筆せずに解決できるケースも少なくありません。分筆には測量と境界確定で3〜6か月、費用40〜80万円がかかります。急ぎの資金需要があるとき、この期間と費用が現実的でないことがあるからです。

この記事では、土地の一部を売る3つの方法と、つくば市の研究学園地区だけに適用される165㎡ルール(これを知らずに分筆すると建築できない土地が生まれます)を、宅地建物取引士が解説します。

土地の一部だけを売ることはできるのか

結論から言うと、できます。ただし方法は1つではありません。

土地は登記簿上「筆(ひつ)」という単位で登録されています。1つの土地が1筆です。1筆の土地は、そのままでは一部だけを登記で移転できません。だから「分筆が必要」と言われるわけです。

ただしこれは登記の話であって、売買契約そのものが禁じられているわけではありません。実務では、契約を先に結んで分筆を後から行う進め方もあります。また、そもそも分筆をしない選択肢もあります。

土地の一部を売る3つの方法

つくば市で土地の一部だけを売却する3つの方法の比較|ハウスドゥ つくば研究学園都市
土地の一部を売る3つの方法

方法①:分筆してから売る(もっとも一般的)

土地を登記簿上で分け、売る部分だけを独立した土地にしてから売却します。買主が住宅ローンを使う場合は、この方法が基本です。金融機関は担保となる土地が明確に分かれていることを求めるためです。

手順は、土地家屋調査士への依頼 → 法務局・市役所での資料調査 → 分筆案の作成 → 現地測量と境界確定 → 隣地所有者の立会いと確認 → 境界標の設置 → 分筆登記の申請、という流れです。

最大のハードルは隣地所有者の立会いです。接する土地の所有者全員から境界の確認をもらう必要があり、一人でも所在不明だったり納得が得られなかったりすると、そこで止まります。相続で名義が古いままの隣地があると、まずその相続人を探すところから始まることもあります。

隣接する土地が複数ある場合は、その数だけ立会いと合意が必要になり、手続き全体の期間が延びやすくなります。境界確認の際に過去の測量図と食い違いが見つかることもあるため、余裕を持ったスケジュールで進めるのが安心です。

方法②:分筆せず全部を売る

「一部だけ売りたい」というご希望の裏には、多くの場合「まとまった現金が必要」という事情があります。相続税の納付期限、施設の入居費用、住宅ローンの残債整理などです。

この場合、土地全体を売って現金を受け取るほうが早く、手取りが多くなることがあります。測量費用も分筆費用もかからず、境界確定を待つ数か月も不要だからです。

「残したい」理由が明確にある場合(自宅が建っている、将来子どもに使わせたい)は分筆が適切ですが、「なんとなく全部売るのはもったいない」という理由なら、一度どちらが有利か計算してみる価値があります。分筆後に残った土地が使いにくい形になり、結局売れないまま固定資産税だけ払い続ける——これは実際によくある結末です。

方法③:共有持分だけを売る

すでに共有名義になっている土地なら、自分の持分だけを売ることは分筆せずにできます。他の共有者の同意も不要です。

ただし持分だけを買う一般の買主はほぼいません。買っても自由に使えないためです。買主は専門の買取業者に限られ、価格は土地全体を売った場合の持分相当額より大きく下がるのが通常です。共有者との関係が完全に切れている場合の最終手段と考えてください。

★つくば市で分筆する前に必ず確認すべき165㎡ルール

ここがつくば市で最も見落とされている点です。全国向けの解説記事には出てきません。

つくば市には「つくば市建築物の敷地制限条例」があり、研究学園地区の一部の用途地域では、建築物の敷地面積が165平方メートル以上でなければなりません(同条例第2条)。約50坪です。

つくば市研究学園地区の最低敷地面積165㎡と分筆の可否|ハウスドゥ つくば研究学園都市
つくば市 研究学園地区の165㎡ルール

対象となる地域

筑波研究学園都市建設法にいう研究学園地区のうち、次の用途地域です。

  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域
  • 準住居地域

ただし地区計画で敷地面積の最低限度が別に定められている区域(地区整備計画区域)は、この165㎡ではなくそちらの基準が適用されます(同条例第2条かっこ書き)。研究学園駅周辺やみどりの、万博記念公園駅周辺などは地区計画が定められている区域があり、基準が異なります。

なぜ売却に直結するのか

たとえば360㎡の土地を半分に分けて売ろうとすると、180㎡ずつになり基準を満たします。ところが「使っていない奥の130㎡だけ売りたい」という分け方をすると、売る側の土地が165㎡を下回り、買主はそこに家を建てられません。

家が建たない土地は、買い手がつかないか、ついても価格が大きく下がります。分筆の線をどこに引くかで、売却できるかどうかが決まってしまうのです。

なお、この規定に違反して建築した場合、設計者または工事施工者は50万円以下の罰金に処されます(同条例第9条)。建築主の故意による場合は建築主も処罰の対象です。

既存の土地には例外がある

条例施行前から建物の敷地として使われていた土地など、一定の場合には165㎡未満でも適用除外となる規定があります(同条例第3条)。ただし「その全部を一の敷地として使用する場合」に限られ、分筆して細かくすれば当然この例外からも外れます。適用除外を受けるには、あらかじめ市長の認定が必要です(同条例第4条)。

出典:つくば市建築物の敷地制限条例(平成15年3月28日条例第19号、平成30年5月1日施行)第1条・第2条・第3条・第4条・第9条。ご自身の土地がどの区域・用途地域に当たるかは、つくば市役所建築指導課へご確認ください。

分筆できない・してはいけない土地

接道義務を満たせなくなる分け方

建築基準法上、建物を建てる敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接している必要があります。分筆によって道路に接しない土地(無道路地)が生まれると、そこには建物が建てられません。

奥に細長い通路をつけた「旗竿地」にする方法もありますが、通路部分の幅が2m未満だと接道義務を満たしません。また旗竿地は同じ面積でも整形地より価格が下がります。

市街化調整区域の土地

つくば市には広い市街化調整区域があります。調整区域は原則として建物が建てられないため、分筆しても買い手が限られます。分筆費用をかけても回収できないことが多く、慎重な判断が必要です。

農地

登記地目が農地(田・畑)の場合、売買にも転用にも農業委員会の許可が必要です。分筆だけ先に済ませても売れるとは限りません。つくば市は農地が多く、この確認は必須です。

住宅ローンが残っている土地

抵当権がついたままでは、通常は売却できません。一部売却の代金で残債を完済できるかを、事前に金融機関と調整する必要があります。分筆すると抵当権の扱いも変わるため、必ず先に相談してください。

費用と税金

分筆にかかる費用

項目 目安
土地家屋調査士への報酬(測量・境界確定・登記) 35〜70万円程度
登録免許税 分筆後の土地1筆につき1,000円
合計の目安 40〜80万円程度

※費用は土地の広さ・形状・隣接地の数・境界確定の状況によって大きく変わります。上記は一般的な住宅地での目安であり、当社の料金ではありません。正確な金額は土地家屋調査士の見積りをご確認ください。

境界が未確定の場合、費用も期間も跳ね上がります。隣接地が多い、道路が私道、公図と現況がずれている——つくば市の古くからの集落部ではよくある状況です。

売却でかかる税金

売却益(譲渡所得)が出ると、所有期間5年超で20.315%、5年以下で39.63%の税率がかかります。

マイホームを売る場合は3,000万円の特別控除が使えますが、土地だけを売る場合は原則として対象外です。建物を取り壊して土地だけ売るときは、取壊しから1年以内に譲渡契約を結ぶなどの条件を満たす必要があります。庭の一部だけを売るケースでは、この控除が使えないことが多い点にご注意ください。

くわしくは実家じまいの費用と手順|3000万円控除の落とし穴もあわせてご覧ください。

※税金の取扱いは個別事情で変わります。具体的な判断は税務署または税理士にご確認ください。

つくば市のエリア別に見た注意点

研究学園・葛城地区

区画整理された整形地が多く、境界も明確なため分筆はしやすいエリアです。ただし地区計画が定められている区域があり、最低敷地面積が165㎡とは別の基準で定められていることがあります。分筆案を作る前に区域の確認が必要です。

つくば駅・竹園・吾妻地区

公務員宿舎跡地の再編が進んだエリアで、まとまった面積の土地が残っています。面積が大きい分、一部売却の相談が多い地域です。地価が高く、分筆費用を回収しやすい反面、用途地域の制限確認が欠かせません。

みどりの・万博記念公園駅周辺

TX沿線で新しく開発が進んだエリアです。地区計画による建築制限が細かく定められている区域があり、敷地面積のほか、建物の用途・高さ・外壁の後退距離まで規定されていることがあります。

谷田部・茎崎・筑波地区

市街化調整区域と農地が多く、分筆の前に「そもそも売れる土地か」の判断が先になります。公図と現況がずれていることも多く、境界確定に時間がかかりがちです。このエリアでは分筆せず全体を買取で解決するほうが早いケースが目立ちます。

よくある質問

Q. 分筆してから売るのと、売ってから分筆するのはどちらがよいですか?

実務では売買契約を先に結び、分筆と決済を後から行う進め方が多く使われます。先に分筆すると、買主が決まらないまま費用だけ先に出ていくためです。ただし買主の住宅ローンの都合で先に分筆を求められることもあります。

Q. 隣の家の人が「境界の立会いに応じない」と言っています

境界が確定しないと分筆登記はできません。この場合、筆界特定制度(法務局)や境界確定訴訟という手段がありますが、いずれも年単位の時間がかかります。急ぐ場合は分筆をあきらめ、現況のまま全体を売却する判断も選択肢です。

Q. 一部を親族に売りたいのですが、安くしても大丈夫ですか?

著しく安い価格で売ると、時価との差額が贈与とみなされて贈与税がかかることがあります。親族間の売買こそ、適正な時価の把握が重要です。

Q. 分筆すると固定資産税は上がりますか?

上がる場合があります。住宅用地の特例は住宅が建っている土地に適用されるため、分筆して住宅のない更地が生まれると、その部分は特例の対象外になり得ます。小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は評価額が6分の1になる特例があるため、影響は小さくありません。

Q. 165㎡ルールは市内すべてに適用されますか?

いいえ。研究学園地区の指定された用途地域に限られますし、地区計画がある区域では別の基準になります。市街化調整区域や、対象外の用途地域には適用されません。ご自身の土地がどれに当たるかは、つくば市役所建築指導課での確認が確実です。

Q. まず何をすればよいですか?

「分筆すべきか」を決める前に、土地全体と一部売却それぞれの査定額を知ることをおすすめします。金額がわかると、40〜80万円の分筆費用と3〜6か月の期間をかける価値があるかどうかを、具体的に判断できます。

まとめ

  • 土地の一部だけを売ることはできる。方法は①分筆して売る②分筆せず全部売る③持分を売る、の3つ
  • 分筆は期間3〜6か月・費用40〜80万円。最大のハードルは隣地所有者の立会い
  • つくば市の研究学園地区では敷地面積165㎡以上が必要な用途地域がある(つくば市建築物の敷地制限条例第2条)。分筆の線の引き方で「家が建てられない土地」が生まれる
  • 地区計画がある区域は165㎡ではなく別の基準が適用される
  • 接道義務を満たせない分け方、市街化調整区域、農地、抵当権付きの土地は分筆の前に可否の確認が必要
  • 土地だけの売却は3,000万円控除が原則使えない。分筆で更地が生まれると固定資産税が上がることもある
  • 急いで現金が必要なら、分筆を待たずに全体を売るほうが早く手取りが多い場合がある

つくば市で土地の一部売却をお考えならハウスドゥ つくば研究学園都市へ

「分筆すべきかどうか」から一緒に考えます。土地全体で売った場合と、一部だけ売った場合の両方を査定してお出しできます。金額を並べて比べれば、判断は難しくありません。

分筆が適切な場合は土地家屋調査士をご紹介し、境界確定から売却までを一貫してお手伝いします。お急ぎの場合は、当社の買取なら最短2日での現金化が可能です。市街化調整区域・農地・境界未確定の土地も、まずはご相談ください。

査定・ご相談は無料です。売却を決めていない段階でも構いません。

お電話:0120-565-072(通話無料)
フォーム:無料相談・査定のお申し込みはこちら

あわせて読みたい

※本記事は2026年8月時点の法令・条例にもとづく一般的な解説です。個別の土地の分筆可否、建築の可否、税金の取扱いについては、つくば市役所建築指導課、土地家屋調査士、税理士などの専門家にご確認ください。

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