2019年9月8日の台風13号では、つくば市内の複数箇所で道路が冠水し、通行止めが行われました。つくば市公式サイトが「参考情報」として今も公開しているこの記録は、河川の氾濫(外水氾濫)とは別に、短時間の大雨だけで足元の道路が水につかる「内水氾濫」のリスクが、台地の街つくばにも存在することを示しています。本記事では、つくば市公式サイトの一次情報をもとに、内水氾濫の基礎知識と、住まいの売却・購入を検討する際に確認しておきたいポイントを整理します。
内水氾濫とは?「洪水(外水氾濫)」とは別のリスク
「洪水」と聞くと、河川の水があふれる状態(外水氾濫)をイメージする方が多いかもしれません。これに対して「内水氾濫」は、下水道や水路の排水能力を短時間の大雨が上回り、行き場を失った雨水が道路や宅地にあふれる現象です。河川からの距離に関係なく、市街地のどこでも起こりうる点が外水氾濫との大きな違いです。
つくば市の地形との関係
研究学園都市の中心部の多くは台地の上に整備されているため、桜川・小貝川沿いの低地に比べると河川氾濫(外水氾濫)のリスクは相対的に低いエリアが多いとされています。ただし内水氾濫は、下水道管の排水能力という別の要因で発生するため、台地上のエリアであっても短時間豪雨の際には道路冠水が起こり得ます。
つくば市で確認できる内水氾濫の一次情報
2019年台風13号で通行止めとなった「冠水予想箇所」マップ
つくば市公式サイトは「台風や集中豪雨時における冠水予想箇所(参考情報)」というページで、2019年9月8日の台風13号の影響により冠水し、市内で通行止めを行った場所を地図で公開しています。市公式サイトは「冠水が一時的に発生した箇所や、把握されていない箇所など、地図に掲載されていない場所もある」とも明記しており、あくまで参考情報として日頃の備えに活用するよう案内しています。
茎崎地区は拡大版マップも用意
同ページには市内全域のマップに加えて「茎崎地区」の拡大版マップも別途掲載されています。茎崎地区は小貝川に近い低地を含むエリアで、他地区より詳しい情報が用意されている点は、事前確認の際に押さえておきたいポイントです。

大雨のときに家庭でできる対策
つくば市上下水道局は「大雨時における下水道への排水抑制について」というページで、大雨時にトイレやお風呂、台所の排水が流れにくくなる現象について案内しています。これは下水道管内に大量の雨水が流入することで一時的に起こるもので、天候の回復とともに収まるとされています。
「水のう」の作り方(3ステップ)
市公式サイトが案内する対策の一つが「水のう」です。大きめのビニール袋を二重にして半分程度水を入れ、空気を抜いて口を縛るだけで簡易的な逆流防止に使えます。トイレや洗濯機の排水口の前に置くことで、下水の逆流をある程度抑える効果が期待できるとされています。
浴槽の水を抜くタイミングにも注意
市公式サイトは「浴槽のお湯を抜かない(雨が止んでから抜く)」「洗濯を控える」「洗い物の際は節水を心掛ける」といった、各家庭での排水抑制への協力も呼びかけています。台風や大雨が予想される日は、こうした一次情報を事前にチェックしておくと安心です。

つくば市に内水(雨水出水)ハザードマップは指定されている?
洪水ハザードマップとは別枠の制度
つくば市のハザードマップ徹底解説|洪水・土砂災害・地震【2026】で解説している「洪水浸水想定区域」は、水防法に基づき河川の氾濫(外水氾濫)を対象に作成されるものです。これとは別に、法律上は下水道の排水能力を上回る大雨を想定した「雨水出水(内水)浸水想定区域」という制度も用意されています。
本記事執筆時点で確認できなかった点
近隣のつくばみらい市では雨水出水浸水想定区域図が公表されている一方、つくば市自身がこの区域を指定・公表しているかどうかは、本記事執筆時点の公式サイト内の一次情報だけでは確認できませんでした。正確な指定状況を確認したい場合は、つくば市上下水道局下水道総務課へ直接問い合わせることをおすすめします。事実と異なる断定は避け、この点は「要確認」として扱ってください。
内水氾濫は不動産売却の重要事項説明の対象になる?
水防法上の説明義務は「指定区域がある場合」が前提
宅地建物取引業法施行規則の改正により、水防法上のハザードマップに基づく水害リスクの説明が重要事項説明に追加されています。ただしこれは、洪水・雨水出水(内水)・高潮のいずれについても、対象となる区域が実際に指定・公表されている場合が前提です。つくば市内で雨水出水浸水想定区域の指定が確認できない現状では、この区分での法定説明義務が生じるかどうかも、区域指定の有無によって変わってきます。
指定がなくても「知っている事実」の告知は必要になりうる
法定の区域指定がない場合でも、対象物件で過去に道路冠水や床下浸水などの被害があったことを売主や仲介業者が知っている場合は、宅地建物取引業法上の「重要な事実の不告知」に該当しないよう、事実に基づいて買主へ伝えることが望ましいとされています。売却を検討する際は、過去の浸水・冠水の有無を自分自身でも振り返っておくことをおすすめします。
台地エリアと低地エリアで内水リスクの現れ方は変わる
研究学園・みどりの・竹園・吾妻といった台地上の中心市街地は、河川からの外水氾濫リスクは低めとされる一方、勾配や排水経路によっては局地的な大雨で道路の一部が冠水することもあります。桜地区や谷田部・茎崎など河川沿いの低地エリアでは、外水氾濫と内水氾濫の両方の視点での確認が必要です。エリアごとの地形の傾向は、上記の親記事でも整理していますので、あわせてご確認ください。
内水氾濫リスクを踏まえた売却前チェックリスト
- 対象地・対象地周辺が「冠水予想箇所」マップに含まれていないか
- 過去に道路冠水や床下浸水などの被害を見聞きしたことがないか
- 雨水出水(内水)浸水想定区域の指定状況を上下水道局へ確認したか
- 洪水浸水想定区域(外水氾濫)の指定状況もあわせて確認したか
- 重要事項説明で水害リスクについてどのような説明を受けたか(売却時は説明する側としての準備)
つくば市の内水氾濫と防災|避難を考えるときの基本
内水氾濫は、河川の水位がそれほど高くなくても、短時間に強い雨が降ると下水道や水路の排水が追いつかず、道路や敷地に水があふれる現象です。茨城県内でも、台地の上にある住宅地と低地に近い住宅地では、同じ雨でも水の集まり方が変わります。防災の面では、まず自宅や周辺のハザードマップを確認し、「どこまで水が来るおそれがあるか」「どの道が通れなくなりやすいか」を平時のうちに把握しておくことが基本です。
大雨のときに意識したい3つの行動
- つくば市が発信する避難情報や気象情報を確認し、「まだ大丈夫」と思わず早めに行動を考える
- 冠水した道路やアンダーパスには車で進入しない(水深が分かりにくく、車が動かなくなるおそれがある)
- 外に出ることが危険な場合は、建物の2階以上など、より高い場所へ移る「垂直避難」も選択肢として考えておく
地形や地盤の違いについては、つくば市の地盤|台地と低地の違い・改良費用で整理しています。風による被害や保険の考え方は、つくば市の竜巻と住宅の風災対策・保険もあわせてご覧ください。
内水氾濫リスクを売却でどう扱うか|買主が気にするポイントと確認先
子育て世帯のように、通学路や毎日のくらしの動線を重視する買主は、「大雨のときに家の周りがどうなるか」を気にする傾向があります。ただし、内水氾濫のおそれがあることが、そのまま売却価格の下落につながるとは限りません。立地、建物の状態、対策の有無などによって見え方は変わるため、実際の影響は個別の査定で確認するのが確実です。売主として準備しておくと安心なのは、次の確認項目です。
| 確認項目 | 主な確認先 | 売却時の使い方 |
|---|---|---|
| 洪水ハザードマップ(浸水想定) | つくば市公式ウェブサイトの防災情報 | 重要事項説明の準備、買主への説明資料 |
| 冠水予想箇所マップ | つくば市公式ウェブサイト | 周辺道路の通行止め・冠水の傾向を把握 |
| 雨水出水(内水)浸水想定区域の指定状況 | つくば市上下水道局 | 指定の有無を確認して説明に反映 |
| 自宅や敷地の過去の浸水 | 所有者の記憶、近隣の方への聞き取り | 知っている事実は隠さず、正確に伝える |
| 水災補償(火災保険) | 加入している保険会社 | 補償範囲を把握し、買主の不安に答える |
買主の不安は、「リスクがあること」よりも「リスクが分からないこと」から生まれることが少なくありません。調べた事実と、これまでに行った対策(排水の手入れ、敷地の高さ、止水の備えなど)を整理して伝えられると、売却の話し合いが進めやすくなります。
内水氾濫が気になる家を売る進め方と「買取」という選択肢
水害への不安から早めに手放したい場合は、次の順番で進めると整理しやすくなります。
- ハザードマップと冠水予想箇所マップで、自宅周辺の状況を確認する
- 不動産会社に査定を依頼し、リスクの有無が価格にどう影響するかを聞く
- 仲介で買主を探すか、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」にするかを比較する
仲介は市場で買主を探すため、条件が合えば高く売れる可能性がある一方、売却までの期間が読みにくい面があります。買取は、不動産会社が直接買い取るため、売却時期を決めやすく、周囲に知られずに進めやすい方法です。どちらが向くかは物件ごとに異なります。つくば市・茨城県の不動産売却の全体像はハウスドゥ つくば研究学園都市(家・不動産買取専門店)のページでご案内しています。
よくある質問
Q. 内水氾濫と洪水(外水氾濫)はどう違いますか?
A. 洪水(外水氾濫)は河川の水があふれる現象、内水氾濫は下水道や水路の排水能力を大雨が上回り雨水があふれる現象です。河川から離れた台地上のエリアでも内水氾濫は起こり得ます。
Q. つくば市で内水氾濫が起きた記録はありますか?
A. つくば市公式サイトによると、2019年9月8日の台風13号の影響で市内の複数箇所が冠水し、通行止めが行われた記録が「参考情報」として地図で公開されています。
Q. つくば市に内水(雨水出水)ハザードマップはありますか?
A. 本記事執筆時点の公式サイトの一次情報だけでは指定状況を確認できませんでした。正確な情報はつくば市上下水道局下水道総務課へ直接お問い合わせください。
Q. 大雨のときに自宅でできる対策はありますか?
A. つくば市公式サイトは、大きめのビニール袋で作る「水のう」をトイレや洗濯機の排水口に置く方法や、浴槽のお湯を雨が止んでから抜くといった対策を案内しています。
Q. 内水氾濫は不動産売却の重要事項説明で必ず説明が必要ですか?
A. 水防法上の説明義務は、対象となる区域が実際に指定・公表されている場合が前提です。指定がない場合でも、過去に浸水被害があったことを知っている場合は事実に基づいた告知が望ましいとされています。
Q. 冠水予想箇所マップに載っていなければ安全ですか?
A. つくば市公式サイトも「一時的に発生した箇所や把握されていない箇所は地図に載っていない場合がある」と明記しています。マップに載っていないことをもって安全と判断せず、参考情報の一つとして活用してください。
あわせて確認したい災害リスクとして、つくば市の竜巻|2012年の記録と住宅の風災対策・保険【2026年】では2012年に発生した藤田スケールF3の竜巻の記録と住宅の備え、火災保険の風災補償について解説しています。
まとめ|内水氾濫は「河川から離れているから安心」とは言えないリスク
つくば市は台地上に整備されたエリアが多く、外水氾濫(河川の氾濫)のリスクは比較的低いとされる場所もありますが、内水氾濫は下水道の排水能力という別の要因で発生するため、台地・低地を問わず注意が必要です。2019年台風13号の冠水記録や「水のう」対策といった一次情報を確認したうえで、住まいの売却・購入を検討することをおすすめします。
つくば市全体の洪水・土砂災害・地震のハザード情報はつくば市のハザードマップ徹底解説|洪水・土砂災害・地震【2026】で詳しく整理しています。あわせてご覧ください。
つくば市の地盤|台地と低地の違い・改良費用【2026】では、地盤の強さの調べ方や地盤改良が必要になった場合の費用相場について解説しています。あわせてご確認ください。
Q. 内水氾濫のおそれがある土地は、売れにくくなりますか?
A. 一概には言えません。買主が重視する度合いには個人差があり、立地や建物の状態、対策の有無によっても評価は変わります。ハザードマップや冠水の記録、行った対策を整理して説明できると、買主の安心材料になります。実際の影響は個別の査定でご確認ください。
Q. 大雨のとき、避難するかどうかは何を見て判断すればよいですか?
A. つくば市が発信する避難情報と気象情報、そして事前に確認したハザードマップを基準にします。道路の冠水や水位の上昇が見られたら、早めに安全な場所へ移動することを考えてください。外への移動が危険な場合は、建物の2階以上へ移る垂直避難も選択肢です。
Q. 水害が心配で、できるだけ早く売却したいときはどうすればよいですか?
A. 仲介と買取を比較して選ぶ方法があります。買取は売却時期を決めやすい方法です。つくば市の売却のご相談は、ハウスドゥ つくば研究学園都市(電話 0120-565-072)で承っています。
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