洪水浸水想定区域の対象河川19、土砂災害警戒区域は筑波山麓を中心に複数指定、想定震度は茨城県調査で6強のケースあり——これがつくば市公式ハザードマップの実際の数字だ。「研究学園都市」「計画的に整備された街」という明るいイメージが先行しがちだが、中心部が広い道路と緑地帯を備えた台地の上に整備されている一方で、そのイメージだけで「つくば市は災害に強い」と判断するのは早計といえる。本記事では、つくば市公式サイトや茨城県の一次情報をもとに、洪水・土砂災害・地震それぞれのハザードマップの読み方と、住まいの売却・購入を検討する際に確認しておきたいポイントを整理する。

つくば市の地形|台地と河川低地が同居する街
茨城県が公表する地震被害想定調査の資料では、茨城県中央部から南西部にかけて洪積台地が広がり、つくば・稲敷台地(標高20〜35メートル程度)などが分布していると説明されています。つくば市の中心市街地の多くはこの台地上に立地しており、平坦で見晴らしのよい街並みはこの地形によるものです。一方で、市内には桜川・小貝川など複数の河川が流れており、その沿岸部には沖積低地(河川がつくった低い土地)が存在します。台地と低地が同居しているのが、つくば市の地形の実像です。
洪積台地に広がる研究学園エリア
研究学園駅周辺やみどりの駅周辺、竹園・吾妻・二の宮といった中心市街地の多くは、区画整理によって計画的に開発された台地上のエリアです。道路や公園の配置にゆとりがあり、後述するハザードマップでも「区域外」表示になりやすい傾向がありますが、これは地区全体が一律に安全という意味ではなく、あくまで個々の地番ごとの確認が前提になります。
桜川・小貝川など河川沿いの低地
つくば市の南部・西部には桜川や小貝川などが流れており、その沿岸には低地が広がっています。こうしたエリアは後述する洪水浸水想定区域の対象になっていることがあるため、台地上のエリアとは別の視点での確認が必要です。
つくば市公式ハザードマップの基本情報
つくば市が公表している「ハザードマップ」とは、指定避難所や指定緊急避難場所などの防災関連施設、洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域など災害発生リスクの高い区域を地図に示したものです(つくば市公式サイト)。最新版の「つくば市防災ガイド 洪水・土砂ハザードマップ」は2026年5月発行で、地域防災計画の改定や法令改正に応じて随時改訂されています。
入手方法(窓口・つくミル・いばらきデジタルまっぷ)
印刷物は、つくば市役所本庁舎2階の危機管理課のほか、大穂・豊里・谷田部・桜・筑波・茎崎の各窓口センターで配布されています。数に限りがあるため、複数枚必要な場合は市公式サイトからの印刷が案内されています。また「つくミル」や「いばらきデジタルまっぷ」では、これまで窓口でしか確認できなかったつくば市の洪水浸水想定区域をインターネット上で確認できます。視覚に障害のある方や日本語の読めない外国人向けには、茨城県の「耳で聴くハザードマップ」サービスも用意されています。
洪水ハザードマップ|対象19河川と読み方
つくば市公式サイトが宅地建物取引業者向けに公開しているよくある質問と回答によると、洪水浸水想定区域の対象河川として、小貝川・鬼怒川・桜川・谷田川・花室川・男女の川・逆川・西谷田川・高岡川・稲荷川・蓮沼川・水堀川・葛城川・小野川・乙戸川・上備前川・谷田川(牛久沼)・観音川・大川(筑西市)の合計19河川が挙げられています。市内を流れる主要な河川のほとんどが対象になっている点は、住まい選びの際に押さえておきたいポイントです。
桜川流域で確認された「浸水想定区域」
桜川については、利根川水系桜川として令和4年(2022年)2月28日に洪水浸水想定区域が指定されています。つくば市公式サイトの資料では、この区域指定の見直しに関する説明の中で「想定される浸水深が3.0メートル以上のエリアとその周辺を含む範囲」という基準が示されており、桜橋以北の中菅間・田中・君島・栗原の各地区で区域指定の一部見直し(令和5年12月1日付)が行われたことが公表されています。これは裏を返せば、桜川沿岸の一部エリアには想定浸水深3.0メートル以上という、決して小さくない浸水リスクが想定されていることを意味します。
つくば市に内水・高潮・津波ハザードマップが無い理由
つくば市公式サイトのハザードマップ作成状況一覧によると、内水(下水道等の排水能力を上回る雨で発生する浸水)・高潮・津波のハザードマップはいずれも「無し」とされています。津波・高潮についてはつくば市が内陸に位置し海に面していないことが理由です。内水についても現時点で市としてのハザードマップは作成されていませんが、これは「内水氾濫が絶対に起きない」という意味ではなく、局地的な豪雨時の道路冠水などは別途注意が必要な点には留意しておきましょう。
地震リスク|茨城県地震被害想定調査に見るつくば市の想定震度
茨城県は2018年12月、東日本大震災の教訓を踏まえて地震被害想定調査を実施し、県に大きな被害をもたらすおそれのある7つの地震を想定しました。この調査結果は市町村ごとの最大震度としても公表されています。
7つの想定地震のうちつくば市の最大震度は6強
同調査の市町村別最大震度の一覧によると、つくば市の想定震度は、茨城県南部の地震で6強、茨城県・埼玉県境の地震で6強、F1断層などの連動地震で4、棚倉破砕帯東縁断層などの連動地震で5弱、太平洋プレート内の地震(北部)で6弱、同(南部)で6弱、茨城県沖から房総半島沖にかけての地震で6強と想定されています。7パターン中3パターンで震度6強という想定は、決して小さいものではありません。
液状化を考えるときの視点
同調査では、液状化の可能性は地盤の性質によって変わり、川や池、沼などを埋め立てた土地や、軟弱地盤に砂質土で盛土を行った土地では液状化が発生しやすいことが一般的な知見として説明されています。つくば市内でも旧河道や後背湿地に該当するような低地では、こうした視点での確認が参考になります。逆に、しっかりとした台地の上であれば、液状化の可能性は相対的に低いと考えられます。
土砂災害警戒区域|筑波山麓に集中する土石流エリア
つくば市公式サイトのFAQでは、土砂災害警戒区域等指定箇所について「急傾斜地」「土石流」「地滑り」の3種類があると説明されています。
指定箇所は筑波山麓の集落に集中
茨城県が公表している土砂災害警戒区域等指定箇所のデータ(つくば市・土石流)を確認すると、国松・筑波・臼井・神郡・山口・小和田といった、筑波山麓に位置する地区に指定箇所が集中していることが分かります。これらはいずれも山あいの集落で、研究学園エリアなどの平坦な市街地とは対照的な地形です。急傾斜地・地すべりについても別途指定箇所が公表されているため、筑波山麓エリアで物件を検討する場合は、この3区分それぞれを個別に確認する必要があります。
地区別に見るハザード確認のポイント(早見表)

ここまでの一次情報を踏まえ、つくば市内のエリアごとに確認しておきたいポイントを大まかに整理すると、上図のようになります。研究学園・みどりの・竹園・吾妻といった中心市街地の多くは台地上に立地し公式マップでも区域外表示になりやすい一方、桜地区(桜川沿岸)や筑波地区(筑波山麓)は、それぞれ洪水・土砂災害の観点で個別確認が必要なエリアです。谷田部・茎崎・大穂・豊里についても、小貝川や谷田川、花室川、稲荷川といった対象河川の沿岸部に該当する場合があるため、番地単位での確認をおすすめします。
指定緊急避難場所と指定避難所の違い
つくば市が公表している「指定緊急避難場所」は、災害による危険を回避するために一時的に避難する場所(公園や広場、高台など)です。これに対し「指定避難所」は、災害後に一定期間生活を送るための施設を指し、両者は役割が異なります。
つくば市の指定緊急避難場所11カ所
つくば市公式サイトが公表している指定緊急避難場所一覧には、さくら運動公園(流星台63)、茎崎運動公園(下岩崎2160-10)、大池公園(北条1477-1)、研究学園駅前公園(学園南2-1)、筑波北部公園(北原1)、株式会社鹿島アントラーズFCつくばアカデミーセンター(みどりの中央51-1)、中央公園(吾妻2-7-5)、大清水公園(竹園1-5-2)、コーチャンフォーつくば店駐車場(学園の森3-50-7)、ファーマーズベースつくば(高須賀866-1)、洞峰公園(二の宮2-20)の11カ所が掲載されています。
「一時的な避難場所」であり災害種別で使えない場合がある
つくば市公式サイトは、指定緊急避難場所について「災害の種別や被災状況によっては使用できない場合があります」と明記しています。自宅から近いというだけで安心せず、洪水時・土砂災害時など災害種別ごとにどこへ避難すべきかを事前に確認しておくことが重要です。
売却・購入時にハザードマップを確認すべき理由
ハザードマップは防災の観点だけでなく、不動産取引の実務にも直結する資料です。
宅建業法の重要事項説明で水害リスク説明が求められている
つくば市公式サイトの宅地建物取引業者向けFAQでは、宅地建物取引業法施行規則の一部改正に伴い、水害リスクに係る説明が重要事項説明に追加されたことが明記されています。つまり、売買の対象となる不動産が水防法上の浸水想定区域内にあるかどうかは、契約前に説明すべき事項として位置づけられています。売却を検討する側にとっても、購入を検討する側にとっても、事前にハザードマップで確認しておくことが取引をスムーズに進めるポイントになります。
「区域外」でも安心とは言い切れない
ハザードマップ上で「区域外」と表示されているエリアであっても、想定を超える降雨や、想定していなかった経路での浸水が起きる可能性はゼロではありません。つくば市公式サイトのFAQでも、過去の水害履歴や土砂災害履歴を確認したい場合は住所を確認のうえ危機管理課へ問い合わせるよう案内されています。区域指定の有無だけで判断せず、必要に応じて行政窓口に相談することも選択肢の一つです。
つくば市で住まいを選ぶ・売る前のチェックリスト
- 対象地が洪水浸水想定区域に指定されているか(つくば市公式ハザードマップ・つくミルで確認)
- 対象地が土砂災害警戒区域(急傾斜地・土石流・地滑り)に指定されているか
- 最寄りの指定緊急避難場所・指定避難所とその避難経路
- 旧河道・低地など、液状化を考えるうえで参考になる地形的特徴があるか
- 重要事項説明で水害リスクについてどのような説明を受けたか(売却時は説明する側としての準備)
あわせて読みたい
つくば市の暮らし全般についてはつくば市の住みやすさ徹底ガイドで、交通アクセスについてはつくば市の交通アクセスと通勤事情で、子育て環境についてはつくば市の子育て・教育環境ガイドで、実家や空き家の活用についてはつくば市の実家・空き家・古民家ガイドでそれぞれ詳しく解説しています。あわせてご覧ください。過去の売却査定実績やお客様の声は売却査定実績とお客様の声のページでご確認いただけます。店舗の対応エリアやサービス全体はハウスドゥ つくば研究学園都市店のトップページをご覧ください。
よくある質問
Q. つくば市に津波や高潮のハザードマップが無いのはなぜですか?
A. つくば市は内陸に位置し海に面していないため、市公式サイトの資料でも津波・高潮のハザードマップは「無し」とされています。ただし洪水(河川氾濫)と土砂災害のハザードマップは作成されているため、そちらは必ず確認しておきましょう。
Q. つくば市で洪水浸水想定区域の対象になっている河川はどこですか?
A. つくば市公式サイトによると、小貝川・鬼怒川・桜川・谷田川・花室川など計19河川が洪水浸水想定区域の対象です。桜川流域では想定浸水深3.0メートル以上のエリアも確認されています。
Q. 土砂災害警戒区域はつくば市のどのあたりに多いですか?
A. 茨城県が公表している指定箇所データによると、筑波山麓の国松・筑波・臼井・神郡・山口・小和田などの地区に土石流の警戒区域が集中しています。研究学園エリアなど中心市街地の多くは該当がありません。
Q. つくば市で想定されている地震の震度はどのくらいですか?
A. 茨城県地震被害想定調査(2018年12月公表)では、県が想定する7つの地震のうち、つくば市の最大震度は「6強」(茨城県南部の地震・茨城県埼玉県境の地震・茨城県沖から房総半島沖にかけての地震の3パターン)とされています。
Q. 不動産の売却・購入時にハザードマップの確認は必須ですか?
A. 宅地建物取引業法施行規則の改正により、重要事項説明で水害リスク(水防法上の浸水想定区域内にあるかどうか)の説明が求められるようになっています。つくば市公式サイトも宅建業者向けのよくある質問でこの点に触れており、実務上は確認が欠かせません。
Q. つくば市のハザードマップはどこで入手できますか?
A. つくば市役所本庁舎2階の危機管理課のほか、大穂・豊里・谷田部・桜・筑波・茎崎の各窓口センターで印刷物を配布しています。つくば市公式サイトのPDFのほか、「つくミル」や「いばらきデジタルまっぷ」でネット上でも確認できます。
まとめ|つくば市の防災情報は「確認してから動く」が基本
洪水浸水想定区域の対象河川19、筑波山麓の土砂災害警戒区域、震度6強を想定する地震リスク。台地上に整備された研究学園都市というイメージの裏側には、こうした具体的な数字が存在する。「イメージ」だけで安心・不安を判断するのではなく、公式ハザードマップという一次情報を実際に確認したうえで、住まいの購入・売却を検討することが大切だ。
つくば市の人口・地価の推移については「つくば市の人口・地価推移|県内1位の理由【2026】」でも詳しく整理しています。防災リスクとあわせて資産価値を考える参考にご覧ください。
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