稲敷市は霞ヶ浦・利根川・小貝川という3つの水系に囲まれた低地を含む地形のため、稲敷市公式ホームページでは「洪水ハザードマップ」「土砂災害ハザードマップ」「高潮ハザードマップ」「ゆれやすさマップ」という4種類のハザードマップが公開されています。この記事では、稲敷市で家を持つ方・これから住まいを探す方に向けて、稲敷市公式ホームページの一次情報にもとづき、それぞれのハザードマップで何が分かるのか、地区別にどこを確認すればよいのかを整理してご紹介します。

目次
  1. 稲敷市の防災・ハザードマップは「4種類」ある
    1. 4種類のハザードマップ一覧
  2. 洪水ハザードマップ|3つの水系と「1000年に1回」の大雨想定
    1. 浸水想定区域は繰り返し追加指定されている
    2. 注意事項として明記されていること
  3. 土砂災害ハザードマップ|15区域に分かれた地区別マップ
    1. 稲敷市の土砂災害ハザードマップは15地区に分割
    2. 土砂災害警戒区域に指定されるとどうなるか
  4. 高潮ハザードマップ|令和8年6月30日に新たに指定された最新情報
    1. 想定されている台風の規模
  5. ゆれやすさマップ|「稲敷市直下地震」を想定した独自シミュレーション
  6. 総合防災マップで4種類のリスクを1冊にまとめて確認できる
  7. エリア別・先に見ておきたいハザード
    1. 霞ヶ浦・利根川沿いのエリア
    2. 台地の縁・斜面地を含むエリア
    3. 小野川・新利根川など内陸の支川沿い
  8. 家を売る・持つときハザードマップが関わる理由
  9. よくある質問
    1. Q. 稲敷市のハザードマップはどこで確認できますか?
    2. Q. 稲敷市の洪水ハザードマップはいつ作られたものですか?
    3. Q. 土砂災害警戒区域に指定されると不動産取引にどう影響しますか?
    4. Q. 高潮ハザードマップはいつ指定されましたか?
    5. Q. 稲敷市直下で大きな地震は想定されていますか?
    6. Q. ハザードマップの想定区域に入っている実家は売却できますか?
  10. まとめ
  11. あわせて読みたい

稲敷市の防災・ハザードマップは「4種類」ある

稲敷市公式ホームページの「防災」ページには、洪水・土砂災害・高潮・地震という4つのリスクに対応したハザードマップがそれぞれ独立して掲載されています(出典:稲敷市公式ホームページ「防災」2024年12月16日更新)。所管はいずれも危機管理課(一部、ゆれやすさマップのみ産業振興課)ですが、マップごとに作成時期・対象範囲が異なるため、1枚だけを見て安心してしまうと見落としが生まれやすい構造になっています。

4種類のハザードマップ一覧

  • 洪水ハザードマップ(利根川・霞ヶ浦・小貝川等の氾濫、平成31年3月改訂、その後複数回にわたり浸水想定区域を追加指定)
  • 土砂災害ハザードマップ(急傾斜地の崩壊等、平成22年3月29日区域指定・平成27年頃作成、地区別に15区域分割)
  • 高潮ハザードマップ(令和8年6月30日付で新たに区域指定、水防法改正にともなう最新のマップ)
  • ゆれやすさマップ(稲敷市直下地震=マグニチュード7.3を想定、平成19年3月の地域防災計画にもとづく)

令和8年2月中旬から3月上旬にかけては、これら4種類の情報をまとめたB4サイズ冊子型の「稲敷市総合防災マップ」が市内全戸に配布されました(出典:稲敷市公式ホームページ「総合防災マップのご案内」2026年3月4日更新)。お手元に届いていない場合や、事業所などで確認したい場合は、危機管理課で配布・閲覧が可能です。

洪水ハザードマップ|3つの水系と「1000年に1回」の大雨想定

稲敷市の洪水ハザードマップは、利根川・霞ヶ浦流域における「1000年に1回程度」の大雨を想定して作成されています。具体的には、利根川流域における3日間の総雨量491mm、霞ヶ浦流域における8日間の総雨量853mm(72時間想定総雨量660mm)という数値が採用されています(出典:稲敷市公式ホームページ「洪水ハザードマップについて」2025年3月5日更新)。

浸水想定区域は繰り返し追加指定されている

洪水ハザードマップのベースは平成31年3月改訂ですが、その後も茨城県が管理する河川について浸水想定区域の追加指定が繰り返されています。稲敷市に関係する主な追加指定は次のとおりです。

  • 令和4年2月28日追加指定:大正堀川
  • 令和5年10月24日追加指定:小野川・沼里川・乙戸川・新利根川・破竹川
  • 令和6年4月30日追加指定:谷田川(牛久沼)

つまり、平成31年3月時点の紙のマップだけでは、令和4年以降に追加された5つの支川の浸水想定区域が反映されていません。稲敷市公式ホームページでは、追加指定のたびに該当河川の浸水想定区域図をPDFで個別公開しているため、平成31年版のマップと合わせて最新の追加指定図も確認することをおすすめします。

注意事項として明記されていること

稲敷市公式ホームページは、洪水ハザードマップの注意事項として「支派川のはんらん、隣接する河川のはんらん、想定を超える降雨、内水によるはんらん等は考慮していません」と明記しています。つまり、浸水想定区域に指定されていない場所でも浸水が発生する可能性があり、想定される水深が実際と異なる場合もあるということです。ハザードマップは「絶対に安全な場所」を示すものではなく、あくまで一つの目安として活用する視点が大切です。

土砂災害ハザードマップ|15区域に分かれた地区別マップ

稲敷市の土砂災害警戒区域は、平成22年3月29日に指定・公表されています(出典:稲敷市公式ホームページ「土砂災害ハザードマップについて」)。土砂災害防止法(平成13年4月1日施行)にもとづき、急傾斜地の崩壊等で住民の生命・身体に危害が生じるおそれのある区域が「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」として、より危険性の高い区域が「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」として指定されます。

稲敷市の土砂災害ハザードマップは15地区に分割

稲敷市公式ホームページで公開されている土砂災害ハザードマップは、次の15地区に分かれています(学習情報面を除く)。

  • 江戸崎・沼田/江戸崎・沼田・小羽賀・村田/羽賀・松山・下君山・上君山/荒野・沼田・下蒲ヶ山/信太古渡/高田・椎塚/椎塚・駒塚・南ヶ丘・桑山/角崎・中山・根本/伊佐津・角崎/下太田・堀川/浮島/神宮寺/堀之内・柏木・岡飯出/幸田・福田/東大沼・市崎・町田・清水

これだけ細かく地区分割されている背景には、稲敷市が広大な面積(205.81km²)を持ち、平地の農地・住宅地だけでなく台地の縁や斜面地も市内に点在しているという地形特性があります。ご自身の物件がどの地区に該当するかは、稲敷市公式ホームページから該当地区のPDFをダウンロードして確認する必要があります。

土砂災害警戒区域に指定されるとどうなるか

土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に指定されると、市町村地域防災計画への記載、災害時要援護者関連施設の警戒避難体制整備に加えて、宅地建物取引における重要事項説明の義務が生じます。つまり、区域内の不動産を売買する際には、宅地建物取引業法にもとづき、警戒区域内である旨を買主に説明することが不動産会社に義務付けられています。さらに危険性の高い土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されると、住宅宅地分譲などの特定開発行為が許可制になり、建築物の構造規制や移転勧告の対象になる場合もあります。

高潮ハザードマップ|令和8年6月30日に新たに指定された最新情報

高潮ハザードマップは、稲敷市の4種類のハザードマップの中でもっとも新しく、令和8年6月30日付で新たに区域指定されました(出典:稲敷市公式ホームページ「高潮ハザードマップについて」2026年8月10日更新)。水防法の改正にともない、高潮による災害を警戒すべき海岸を「高潮浸水想定区域」として指定することが茨城県に義務付けられたことが背景にあります。

想定されている台風の規模

稲敷市の高潮浸水想定区域図は、「室戸台風」(昭和9年)・「伊勢湾台風」(昭和34年)クラスの非常に強い勢力の台風が茨城沿岸に襲来した場合をシミュレーションしています。稲敷市では、海側で想定最大規模の高潮が発生することで海面水位が上昇し、河川からの排水がしづらくなると同時に、河川では10年〜200年に1回程度の計画規模の洪水が発生することを想定した、複合的なシミュレーション結果になっている点が特徴です。

市内の海に面していない地域にお住まいの方には見落とされがちなマップですが、利根川沿いのエリアでは高潮による越水の影響を受ける可能性があるため、洪水ハザードマップと合わせて確認しておきたいマップです。

ゆれやすさマップ|「稲敷市直下地震」を想定した独自シミュレーション

ゆれやすさマップは、稲敷市地域防災計画(平成19年3月)で取り上げられている「稲敷市直下地震」を想定地震として作成されています。稲敷市直下に活断層が存在すると仮定し、その断層面でマグニチュード7.3(阪神・淡路大震災と同規模)の地震が発生した場合のゆれやすさをシミュレーションしたものです。ただし稲敷市公式ホームページは「現時点では稲敷市直下に活断層は確認されていません」と明記しており、あくまで全国どこにでも起こりうる直下型地震への備えとして作成されたマップである点に注意が必要です。

阪神・淡路大震災では、犠牲者の約9割が住宅の倒壊や家具の転倒による圧死だったとされています。ゆれやすさマップは、住宅の耐震化を促進する目的で作成されており、避難所や公共機関等の情報提供、防災への意識啓発も兼ねています。

稲敷市 4種類のハザードマップ早見表 ハウスドゥつくば研究学園都市
稲敷市の4種類のハザードマップ早見表(出典:稲敷市公式ホームページ「防災」ページ各種情報より作成)

総合防災マップで4種類のリスクを1冊にまとめて確認できる

令和8年2月中旬から3月上旬にかけて全戸配布された「稲敷市総合防災マップ」は、洪水浸水・土砂災害・ゆれやすさマップに加えて、避難行動判定フロー・地震対策・火災対策・我が家の防災対策・避難所一覧・我が家のタイムラインなど、防災に関する基本情報を1冊のB4冊子にまとめたものです(全50ページ構成)。エリアマップだけでも15分割で掲載されており、稲敷市公式ホームページから各ページをPDFでダウンロードすることもできます。引っ越しでお手元にマップが届いていない場合や、事業所として確認したい場合は、稲敷市役所3階の危機管理課(電話:029-892-2000)で配布・閲覧が可能です。

エリア別・先に見ておきたいハザード

稲敷市は江戸崎地区・新利根地区・桜川地区・東地区という旧1町2村1町の合併エリアで、地形や川との位置関係が大きく異なります。物件を探す際・所有する実家を見直す際は、エリアの特性に応じて優先的に確認したいマップが変わってきます。

霞ヶ浦・利根川沿いのエリア

霞ヶ浦や利根川に近いエリアでは、洪水ハザードマップに加えて、令和8年6月に新たに指定された高潮ハザードマップも確認しておきたいポイントです。特に利根川沿いは、洪水と高潮の両方の影響を受ける可能性がある区域が含まれます。

台地の縁・斜面地を含むエリア

市内に15区域設定されている土砂災害ハザードマップの対象地区(江戸崎・沼田、羽賀・松山・下君山・上君山、高田・椎塚など)にお住まい・所有物件がある場合は、土砂災害警戒区域・特別警戒区域に該当していないかの確認が欠かせません。該当する場合、不動産売買の際に重要事項説明の対象になります。

小野川・新利根川など内陸の支川沿い

令和5年10月24日に追加指定された小野川・新利根川・乙戸川・沼里川・破竹川の沿岸エリアは、平成31年版の紙のマップには反映されていない浸水想定区域です。これらの支川沿いにお住まいの場合は、最新の追加指定図を個別に確認することをおすすめします。

家を売る・持つときハザードマップが関わる理由

宅地建物取引業法施行規則の改正(2020年8月28日施行)により、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明が、不動産取引における重要事項説明の義務項目に追加されました。つまり、稲敷市内の不動産を売買する際は、洪水ハザードマップ・(該当する場合は)高潮ハザードマップを示しながら、物件の位置を説明することが宅地建物取引業者に義務付けられています。また、土砂災害警戒区域に該当する場合も同様に、区域内である旨の説明義務があります(土砂災害防止法にもとづく)。

「うちの実家がハザードマップの想定区域に入っているかもしれない」という理由で売却や住み替えをためらう必要はありません。区域内であっても取引自体は可能であり、正確な情報を買主に開示したうえで、適正な条件での売却を目指すことができます。稲敷市で実家・空き家の売却や、住み替えのための査定をお考えの場合は、ハザードマップの確認も含めて地域に詳しい不動産会社へご相談ください。

よくある質問

Q. 稲敷市のハザードマップはどこで確認できますか?

稲敷市公式ホームページの「防災」ページから、洪水・土砂災害・高潮・ゆれやすさの4種類のハザードマップをPDFでダウンロードできます。令和8年2月〜3月には全戸配布された総合防災マップも活用できます(出典:稲敷市公式ホームページ)。

Q. 稲敷市の洪水ハザードマップはいつ作られたものですか?

ベースとなるマップは平成31年3月改訂です。その後、令和4年2月・令和5年10月・令和6年4月と複数回にわたり浸水想定区域の追加指定が行われており、追加分は個別のPDFで公開されています(出典:稲敷市公式ホームページ「洪水ハザードマップについて」)。

Q. 土砂災害警戒区域に指定されると不動産取引にどう影響しますか?

宅地建物取引業法にもとづき、区域内である旨を買主に重要事項として説明する義務が生じます。特別警戒区域(レッドゾーン)ではさらに、特定開発行為の許可制や建築物の構造規制の対象になります(出典:稲敷市公式ホームページ「土砂災害ハザードマップについて」)。

Q. 高潮ハザードマップはいつ指定されましたか?

令和8年6月30日付で、水防法の改正にともない新たに高潮浸水想定区域が指定・公表されました。稲敷市の4種類のハザードマップの中でもっとも新しい情報です(出典:稲敷市公式ホームページ「高潮ハザードマップについて」)。

Q. 稲敷市直下で大きな地震は想定されていますか?

ゆれやすさマップは、稲敷市地域防災計画にもとづく「稲敷市直下地震」(マグニチュード7.3想定)を前提に作成されています。ただし稲敷市公式ホームページは「現時点では稲敷市直下に活断層は確認されていません」と明記しています(出典:稲敷市公式ホームページ「ゆれやすさマップ」)。

Q. ハザードマップの想定区域に入っている実家は売却できますか?

売却は可能です。宅地建物取引業法にもとづき、ハザードマップ上の位置や区域指定の有無を買主に正確に説明したうえで、適正な条件での売却を目指すことができます。区域指定を理由に売却をあきらめる前に、地域に詳しい不動産会社へのご相談をおすすめします。

まとめ

稲敷市には、洪水・土砂災害・高潮・地震という4種類のハザードマップがあり、それぞれ作成時期や対象範囲が異なります。特に洪水ハザードマップは令和4年以降も浸水想定区域の追加指定が続いており、高潮ハザードマップは令和8年6月とごく最近指定されたばかりです。ご自身の住まい・実家がどのマップの対象になっているかを一度確認しておくことで、いざというときの避難行動や、将来的な売却・住み替えの判断にも役立ちます。稲敷市での住まい探しや、ご実家の売却・査定のご相談は、地域に詳しいハウスドゥ つくば研究学園都市店へお気軽にお問い合わせください。

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