「谷田部四ツ角」という交差点名を聞いて場所がすぐに思い浮かぶのは、つくば市内でも谷田部エリアに縁のある方に限られるかもしれません。つくば駅周辺に広がる近未来的な街並みとは対照的に、谷田部エリアには江戸時代の谷田部藩陣屋町として栄えた商家町の面影が今も残っています。一方で常磐自動車道の谷田部ICやつくばエクスプレスみどりの駅にも近く、土地区画整理事業による新興住宅地の開発も進んでいる、古さと新しさが同居するエリアです。本記事ではつくば市公式資料や国の統計など一次情報をもとに、谷田部エリアの歴史・交通・子育て・買い物・産業・地価・住宅事情を整理し、住まいを検討する際に押さえておきたいポイントを解説します。

谷田部エリアとは|からくり発明家・飯塚伊賀七のまち
谷田部エリアは、つくば市南部に位置する「谷田部市街地」を中心とした地域です。つくば市が公表する「谷田部市街地カルテ」によると、この地域はもともと旧谷田部町の中心として発展し、行政・商業・生活の拠点としての役割を長く担ってきました。現在も谷田部窓口センターや谷田部保健センター、谷田部相談センターなど各種行政施設が集約しているのが特徴です。
谷田部藩陣屋町から市町村合併までの歴史
谷田部は江戸時代、熊本細川氏の分家が治めた谷田部藩の陣屋町でした。陣屋町として商業の中心地・交通の結節点の役割を担い、にぎわいを見せていたと伝えられています。現在の谷田部商店街や千歳通りには、その名残として老舗の商店が今も軒を連ねています。1889年(明治22年)の町村制施行により筑波郡谷田部町などが発足し、1955年(昭和30年)には谷田部町が島名村・葛城村・小野川村・真瀬村(一部)の4村と合併しました。その後1987年(昭和62年)11月30日、筑波郡豊里町・大穂町・新治郡桜村と合併して「つくば市」が誕生し、谷田部町は消滅しています。
からくり伊賀七と県指定文化財「五角堂」
谷田部エリアを語るうえで欠かせないのが、江戸時代後期の発明家・飯塚伊賀七です。谷田部に生まれ生涯を谷田部で過ごした伊賀七は、和時計やからくり人形、飛行実験、五角堂の設計など多方面で活躍し「からくり伊賀七」の異名を持ちました。自作の木製和時計とともに五角堂は茨城県指定文化財となっており、谷田部郷土資料館では復元品を見学できます。秋には地元有志による「谷田部市街地オータムフェア」も開催され、伊賀七の名を冠したまちづくり活動が続いています。
谷田部市街地の人口・世帯数の推移
つくば市公式資料(谷田部市街地カルテ)によると、谷田部市街地の人口は平成15年6,356人、平成20年6,645人、平成25年6,700人と増加した後、令和2年10月時点で6,383人とやや減少に転じています。一方で世帯数は平成15年の2,182世帯から令和2年には2,841世帯へ一貫して増加しており、世帯の小規模化が進んでいることがうかがえます。年齢階層別では生産年齢人口が減少する一方、高齢者人口は平成15年の1,163人から令和2年には1,815人へと増加しています。つくば市全体の人口・地価の長期推移は別記事「つくば市の人口・地価推移|県内1位の理由」でも詳しく解説しています。
交通アクセス|谷田部ICとつくバスで市内外へ
常磐自動車道 谷田部IC・圏央道へのアクセス
谷田部ICは1981年(昭和56年)4月27日、柏IC~谷田部IC間の開通に伴い供用開始された、常磐自動車道で最初に開通した区間のインターチェンジです。谷田部市街地から約1kmと近く、都心方面へのアクセス拠点として周辺の物流施設や事業所の立地にも影響しています。また、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)のつくば中央IC・つくば牛久ICへも車で15〜20分程度でアクセスでき、成田方面や県南地域への移動もしやすい立地です。
最寄り駅はTXみどりの駅(車・バス約10分)
谷田部市街地の最寄り駅はつくばエクスプレス「みどりの駅」で、直線距離で約1.5kmです。つくば市公式資料によると、つくバス「自由ヶ丘シャトル」を利用した場合の所要時間は谷田部窓口センターから約10分、車でも同程度とされています。つくば市全体の交通アクセスについては別記事「TX最速45分|つくば市の交通アクセスと通勤事情」で詳しく解説しています。
つくバス「谷田部シャトル」の生活圏
つくば市のコミュニティバス「つくバス」には北部・小田・作岡・吉沼・上郷・西部・みどりの・南部・谷田部・自由ケ丘・茎崎の11シャトルルートがあり、谷田部シャトルは谷田部窓口センターを拠点に市街地内外を結んでいます。市民アンケートでも、谷田部エリアの住民は買い物や通院で地区内の拠点「谷田部」を利用する割合が突出して高いという結果が出ており、生活が地区内で完結しやすい構造がうかがえます。

子育て・教育環境
谷田部小学校・谷田部中学校の学区
谷田部エリアの中心部は、つくば市立谷田部小学校・谷田部中学校の学区にあたります。谷田部小学校はつくば市内でも児童数の多い学校の一つとされ、周辺の宅地開発の進展とともに児童数が増加してきた経緯があります。学区の詳細はつくば市教育局学務課の通学区域一覧で確認できます。
県立つくば工科高等学校と谷田部児童館
谷田部エリアには、機械科・ロボット工学科・電気電子科・建築技術科を持つ茨城県立つくば工科高等学校があります。昭和2年に町立筑波実修学校として開校し、令和9年(2027年)には創立100年を迎える伝統校で、筑波研究学園都市の指定後は中堅技術者の育成を目的とした教育を行っています。また谷田部窓口センター周辺には谷田部児童館が設置されており、放課後の居場所や親子の交流拠点として利用されています。つくば市全体の子育て支援制度については別記事「つくば市で子育て|教育環境・マル福・小中一貫」もあわせてご確認ください。
買い物・生活利便|商店街と郊外型店舗が共存
谷田部商店街の老舗店
谷田部市街地には、書店・米穀店・鮮魚店・精肉店・酒店・薬局といった昔ながらの個人商店が今も営業を続けています。コミュニティ道路として整備された「千歳通り」は、谷田部市街地オータムフェアなどのイベント会場としても活用され、地域の交流の中心になっています。
生活利便施設|スーパー・金融機関・医療・行政窓口
商店街に加え、つくばショッピングセンター「アッセ」やドラッグストア、ホームセンター、コンビニエンスストアなど郊外型の店舗も周辺に立地しています。つくば市公式の生活サービス施設調査でも、谷田部市街地は商業施設の徒歩圏カバー率が高いエリアと評価されています。また常陽銀行・筑波銀行・茨城信用組合の各谷田部支店のほか、谷田部診療所や内科・整形外科などの医療機関、谷田部保健センター、谷田部窓口センターが集約しており、日常の用事の多くを地区内で済ませやすい環境です。
産業と仕事|ものづくりが根づくエリア
ものづくりと農業が共存する産業構造
つくば市公式資料(経済センサス・RESASデータをもとにした市街地カルテ)によると、谷田部市街地の産業分類別事業所立地割合は二次産業(製造業等)が18.47%と、つくば市全体の16.55%をやや上回っています。研究学園都市というと三次産業(研究・サービス業)のイメージが強いつくば市の中でも、谷田部エリアはものづくりの色合いが比較的濃いエリアといえます。また谷田部市街地にはJAつくば市谷田部本所・谷田部支所が置かれ、周辺には田園地帯が広がり農業も引き続き営まれています。谷田部IC周辺には近年、物流施設の立地も進んでおり、農業と物流・製造業が共存する土地利用になっています。
防災の視点|谷田川・西谷田川が流れる低地
谷田部市街地の周辺には谷田川・西谷田川が流れており、低地部では浸水想定区域の確認が必要です。つくば市全体の洪水・土砂災害・地震ハザードマップの詳しい読み方は、別記事「つくば市の防災ハザードマップ徹底解説」で一次情報をもとに解説しています。谷田部エリアで住まいの購入・売却を検討する際も、まずは公式ハザードマップで地番ごとの状況を確認することをおすすめします。
地価・住宅事情|商・住系の市街地と新興住宅地
谷田部市街地の公示地価・基準地価の目安
つくば市公式資料によると、谷田部市街地内には2018年時点で公示地価の標準地が2箇所(住宅地)あり平均25,600円/㎡、都道府県地価調査の基準地が3箇所(住宅地)あり平均26,767円/㎡でした。同時期のつくば市平均基準地価76,872円/㎡と比べると低めの水準で、いずれも1992年以降下落傾向にあったとされています。なお、つくば市全体の公示地価は2026年時点で住宅地平均91,300円/㎡(前年比+5.6%)まで上昇しており、市内でもエリアによる価格差が大きい点には注意が必要です。谷田部エリアの最新の相場感は、一次情報の更新状況とあわせて個別に確認することをおすすめします。
台町・羽成・萱丸など土地区画整理事業エリア
谷田部市街地の周辺では台町・羽成・萱丸・島名福田坪といった土地区画整理事業が行われており、これらのエリアが新興住宅地として開発されてきました。つくば市の調査(平成18〜26年の新築動向)では、谷田部市街地は住宅系の新築件数を世帯数の増加が上回っており、持ち家の新築だけでなく賃貸住宅への入居によっても世帯数が増えている傾向が示されています。
空き家率5.8%・戸建て住宅世帯1,451世帯
つくば市公式資料によると、谷田部市街地の戸建て住宅世帯数は1,451世帯(平成28年度)、空き家数は84件、空き家率は5.8%とされています。市街地の土地利用では空地が4.8%、駐車場が1.1%を占め、あわせて約5.9%が今後の土地活用の余地として指摘されています。谷田部エリアの中古戸建て価格の動向をより詳しく知りたい方は、別記事「つくば谷田部 中古戸建の相場は?価格動向を予測」もご覧ください。
谷田部エリアで家を売る・持ち続けるときに知っておきたいこと
古い市街地の戸建て・空き店舗の売却相談
谷田部商店街のように昔ながらの店舗併用住宅が多いエリアでは、建物の権利関係や用途地域の確認が売却の第一歩になります。宅地建物取引業法34条の2第2項では、不動産会社が売却査定額の根拠を売主に明示する義務が定められています。古い建物ほど、査定額の根拠を丁寧に説明してもらえる不動産会社を選ぶことが重要です。実際の売却事例は売却査定実績とお客様の声でもご紹介しています。
区画整理エリアの新興住宅・賃貸ニーズを踏まえた売り時の見極め
台町・羽成・萱丸などの区画整理エリアで比較的新しい住宅にお住まいの方は、周辺の開発状況や需要動向によって売却タイミングが変わります。前述のとおり谷田部市街地は新築件数を上回るペースで世帯数が増えており、賃貸住宅への入居が一定数あることを示しています。売却だけでなく賃貸活用も選択肢に入れて検討したい場合も、まずは複数の視点から資産価値を確認することをおすすめします。
実家・空き家・古民家の悩みは個別記事で
谷田部エリアに実家や空き家をお持ちで、売却・活用に迷われている方は、つくば市全域を対象にした別記事「つくば市の実家・空き家・古民家|5つの選択肢」もあわせてご参照ください。つくば市の不動産売却・買取全般についてはハウスドゥ つくば研究学園都市店のトップページもご覧ください。
よくある質問
Q1. 谷田部エリアはつくば市のどのあたりですか?
A1. つくば市南部に位置し、つくばエクスプレスみどりの駅から南西へ約1.5km、常磐自動車道谷田部ICから約1kmの場所にある市街地です。旧谷田部町の中心部にあたります。
Q2. 谷田部エリアの最寄り駅とアクセス方法は?
A2. 最寄り駅はつくばエクスプレス「みどりの駅」です。つくば市公式資料によると、つくバス「自由ヶ丘シャトル」利用で谷田部窓口センターから約10分、車でも同程度の所要時間です。
Q3. 谷田部小学校区・谷田部中学校区にはどんな特徴がありますか?
A3. 谷田部小学校はつくば市内でも児童数の多い学校の一つとされています。学区の詳細はつくば市教育局学務課の通学区域一覧で確認できます。
Q4. 谷田部エリアの地価は市内で見てどのくらいの水準ですか?
A4. つくば市公式資料によると2018年時点で谷田部市街地内の公示地価標準地の平均は約25,600円/㎡、基準地は約26,767円/㎡で、当時の市平均基準地価76,872円/㎡より低めでした。最新の相場は個別の査定でご確認ください。
Q5. 谷田部エリアで空き家や古い実家の売却は相談できますか?
A5. はい、ご相談いただけます。谷田部市街地の空き家率は5.8%(平成28年度)というデータもあり、実家・空き家の売却・活用について豊富な相談実績があります。
Q6. 谷田部エリアの不動産売却はどこに相談すればいいですか?
A6. つくば市全域に対応するハウスドゥ つくば研究学園都市店へご相談ください。谷田部エリアを含むつくば市の不動産売却・買取・査定は無料でご案内しています。
まとめ|谷田部エリアは歴史と利便性が同居する暮らしやすいまち
谷田部エリアは、江戸時代の陣屋町としての歴史と、からくり発明家・飯塚伊賀七ゆかりの文化資源を持ちながら、常磐道谷田部ICやつくバスによる交通利便性、商店街と郊外型店舗が両立する買い物環境を備えたエリアです。世帯数の増加が続く一方で高齢化も進んでおり、区画整理エリアの新興住宅と昔ながらの市街地とでは住宅事情も異なります。谷田部エリアでの住まいの売却・購入・活用を検討される際は、地域の一次情報を踏まえたうえで、無料査定などを活用しながら判断されることをおすすめします。
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つくば市北部の北条・筑波山麓エリアの歴史や暮らしについては「北条・筑波山麓エリアの暮らし|門前町の歴史と自然環境」でも解説しています。


