「親が住んでいたつくば市の実家、誰も住まなくなってしまった」「筑波山のふもとに祖父母の古民家があるけれど、遠方に住んでいて管理が難しい」——つくば市周辺で不動産のご相談を受けていると、こうした声を本当によく耳にします。
実家をどうするかという問題は、多くの場合「答えを急がなければ」と思い込みがちですが、実際には住む・貸す・活かす・登録する・売るという複数の選択肢があり、それぞれにメリットと注意点があります。この記事では、つくば市の地域特性や公的データを踏まえながら、実家の空き家・古民家と向き合うときに知っておきたい情報を整理しました。
つくば市の空き家は今、どうなっている?
つくば市は筑波研究学園都市として人口が増え続けている一方で、市内には「増える地区」と「減る地区」がはっきり分かれているという特徴があります。つくば市が令和4年(2022年)8月から10月にかけて実施した「第2期つくば市空家等対策計画」の実態調査によれば、地区別の空き家率には大きな開きがあります。
具体的には、筑波地区が4.7%と最も高く、次いで茎崎地区4.1%、谷田部地区2.4%、桜地区2.3%、大穂地区1.8%、豊里地区1.8%、そして研究学園地区は1.0%と、TX(つくばエクスプレス)沿線の人口増加エリアと、筑波山麓など昔からの集落が多いエリアとで、空き家率が2倍以上も異なっています。

つまり「つくば市は人口が増えているから空き家問題とは無縁」というのは誤りで、旧町村部を中心に実家の空き家化は着実に進んでいます。特に筑波地区は、次の章で触れる歴史的な古民家が多く残るエリアでもあり、単純に「解体して更地に」という判断がもったいないケースも少なくありません。
なぜ地区によってこれほど差が出るのか
研究学園地区や葛城地区のようにTX開業後に新しく街区が整備されたエリアでは、住宅そのものが新しいため空き家化までまだ時間があります。対して筑波地区や茎崎地区は、つくばエクスプレスの駅から離れた地域が多く、世代交代とともに実家が空き家になりやすい構造があります。ご自身の実家がどちらのタイプの地区にあるかを把握しておくと、この後の選択肢を考えるヒントになります。
実家を相続したときに考えたい5つの選択肢
「売る」か「解体する」かの二択だと思われがちですが、実際には次の5つの方向性があります。どれが正解ということはなく、実家の状態・立地・ご家族の状況によって最適な答えは変わってきます。

① 住み続ける・維持管理する
すぐに手放す予定がない場合は、定期的な換気・通水・庭木の手入れなどで資産価値の低下を防ぐという選択もあります。ただし遠方にお住まいの場合、月1回でも訪問するのは負担が大きく、シルバー人材センターや空き家管理サービスの利用を検討される方も増えています。
② 賃貸に出す
立地によっては賃貸需要が見込めます。特に研究学園駅や万博記念公園駅周辺は単身赴任者やファミリー層からの需要があり、リフォーム費用をかけても回収できる可能性があります。一方で、旧耐震基準の建物や設備の老朽化が進んでいる場合は、入居者を確保する前に相応の改修費がかかる点は押さえておく必要があります。
③ 古民家として活かす
つくば市北条地区のように、歴史ある建物を活用したまちづくりが進んでいるエリアもあります。国指定重要文化財の「矢中の杜」(つくば市北条、昭和初期の近代和風住宅)や、江戸時代後期の商家建築8棟が国登録有形文化財となっている「宮本家住宅」など、筑波山麓には保存・公開されている歴史的建造物が複数あります。また、築100年ほどの古民家をリノベーションした交流スペース「iriai Tempo」のように、地域住民が主体となって古民家を再生する動きも生まれています。すべての実家がこうした形で活用できるわけではありませんが、「古いから価値がない」と決めつける前に、建物の由来や構造を一度専門家に見てもらう価値はあります。
④ つくば市空家バンクに登録する
つくば市は「つくば市空家バンク制度」を運営しており、空き家を売りたい・貸したい所有者と、買いたい・借りたい利用希望者を市が橋渡しする仕組みがあります。つくば市公式サイト「空家等をお持ちの方へ」(2024年12月6日更新)によれば、これまでに空家バンク制度に登録された物件の約7割が成約しているとのことです。
あわせて「つくば市空家活用補助金」も用意されており、空家バンクの登録物件を購入して改修工事を行う場合は工事費の50%(上限50万円)、物件を売却するために家財処分を行う場合は処分費の50%(上限10万円)の補助を受けられる制度があります(申請時期や条件は年度により変わるため、利用の際はつくば市住宅政策課への確認が必要です)。
⑤ 売却する
維持管理の負担や固定資産税、将来的な相続トラブルのリスクを考えると、早めの売却を選ばれる方も多くいらっしゃいます。売却方法には仲介と買取があり、それぞれに向き・不向きがあります。当店では、つくば市内の空き家売却について「つくば市で空き家を売りたい|4つの売り方と税金」や「つくば市の空き家査定|減額7要因と実額の目安」でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
放置すると何が起きるのか
「決めきれないから、とりあえずそのままにしておく」というご判断も一つの選択ですが、放置にはいくつかのリスクがあることも知っておく必要があります。
固定資産税の住宅用地特例が外れる可能性
建物が建っている土地は「住宅用地の特例」により固定資産税が軽減されていますが、空き家対策特別措置法に基づき「管理不全空家等」や「特定空家等」に指定されると、この特例の対象から除外され、税額が大きく上がるおそれがあります。倒壊の危険や衛生上の問題があると判断される前に、早めの対応が望ましいところです。
老朽化がゆっくり進み、選択肢が狭まっていく
雨漏りやシロアリ被害は数年単位でじわじわ進行するため、「気づいたときには賃貸にも売却にも出しにくい状態だった」というケースは珍しくありません。特に古民家は木造の伝統構法であることが多く、放置期間が長くなるほど再生コストが跳ね上がります。活用するにせよ手放すにせよ、判断は早いに越したことはありません。
相続空き家を売るなら知っておきたい税制の話
実家を相続後に売却する場合、一定の要件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」により、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度があります(国税庁タックスアンサーNo.3306)。主な要件は次のとおりです。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(区分所有建物を除く)
- 相続開始の直前に被相続人が一人で居住していたこと(一定の場合は要件緩和あり)
- 相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
- 売却代金が1億円以下であること
- 相続時から譲渡時まで事業用・貸付用・居住用として使用していないこと
この特例の適用期間は令和9年(2027年)12月31日までとされています。つくば市の実家が昭和56年より前に建てられたものであれば、対象になる可能性がありますので、詳細要件は国税庁の案内や税理士への確認をおすすめします。当店でも制度の概要についてはご相談を承っていますが、最終的な税務判断は税理士等の専門家にご確認ください。
つくば市のエリアごとに見る実家事情
つくば市は2002年(平成14年)に旧筑波郡6町村(大穂町・豊里町・桜村・谷田部町・茎崎町・筑波町)が合併して誕生した経緯があり、地区ごとに成り立ちも住宅事情も異なります。
筑波地区(北条・筑波山麓エリア)
空き家率4.7%と市内で最も高い一方、筑波山を望む歴史的な街並みが残るエリアでもあります。前述の矢中の杜や宮本家住宅のように、古い建物そのものが地域の観光資源として活用されている例もあり、「解体一択」ではなく「どう活かすか」を考える価値があるエリアといえます。
茎崎地区
牛久市・つくばみらい市に近い南部エリアで、空き家率は4.1%。宅地開発が比較的早かった分譲地も多く、戦後〜高度成長期に建てられた住宅の世代交代が進んでいます。
谷田部地区・桜地区
市役所や商業施設が集まる中心部に近く、空き家率はそれぞれ2.4%・2.3%と中位。利便性が高いため、賃貸や売却での需要も見込みやすいエリアです。
大穂地区・豊里地区
空き家率はともに1.8%。筑波大学や研究機関に近く、単身者向け賃貸需要が一定数あります。
研究学園地区・葛城地区
空き家率1.0%と市内で最も低く、TX沿線の新興住宅地として人口が伸び続けています。実家というよりは、これから将来的に空き家化する可能性を見据えるエリアです。
迷ったときにまず相談すべきこと
実家の活用方針を決める前に、次の3つを整理しておくとご相談がスムーズです。
建物の権利関係を確認する
相続登記が済んでいるか、共有名義になっていないかを確認しましょう。2024年4月からは相続登記の義務化も始まっており、放置すると過料の対象になる可能性もあります。
家族間で方向性のすり合わせをする
「住む」「貸す」「売る」のどれを望むかはご家族によって意見が分かれやすいポイントです。早い段階で希望を共有しておくことで、後々のトラブルを避けやすくなります。
建物の状態を専門家に見てもらう
古民家として活かせる状態か、それとも解体を検討すべき状態かは、素人目には判断が難しいものです。当店では査定のご相談時に、売却だけでなく活用方法についても一緒に考えさせていただいています。
よくある質問
Q1. つくば市の実家、相続してすぐ売らないといけませんか?
A. 急いで売却する必要はありません。ただし、空き家の状態で放置すると老朽化が進み、固定資産税の特例が外れるリスクもあるため、早めに方針を決めることをおすすめします。
Q2. 古民家に価値があるかどうか、どこで判断してもらえますか?
A. 建物の構造や築年数、地域性によって評価が分かれます。まずは無料査定でご相談いただき、必要に応じて古民家に詳しい専門家をご紹介することも可能です。
Q3. つくば市空家バンクと不動産会社への売却、どちらがいいですか?
A. 空家バンクは市が仲介する公的な制度で、改修補助などのメリットがあります。一方、早期の現金化や価格の柔軟性を重視する場合は不動産会社への売却・買取が向いています。ご状況に応じてどちらが合うか、あわせてご相談いただけます。
Q4. 実家が空き家のままでも固定資産税は同じですか?
A. 建物がある限りは住宅用地の特例が適用されますが、「管理不全空家等」に指定されると特例が解除され、税額が上がる可能性があります。適切な管理が重要です。
Q5. 相続した実家に住民票がある場合、3,000万円控除は使えますか?
A. 特例の適用には「相続開始の直前に被相続人が一人で住んでいたこと」など複数の要件があります。詳細は国税庁の案内をご確認いただくか、税理士にご相談ください。
Q6. 筑波山麓の古民家は買い手が見つかりやすいですか?
A. 一般的な住宅よりは需要が限定されますが、近年は移住・二拠点生活を目的とした古民家ニーズも一定数あります。エリアと建物の状態次第で可能性は変わってきます。
つくば市内での実際の売却査定実績やお客様の声は、売却査定実績・お客様の声のページでもご紹介しています。実家の活用に迷われている方は、他の方がどのような形で解決されたかの参考にしていただけます。
まとめ
つくば市の実家をどうするかという問題に、唯一の正解はありません。住み続ける、貸す、古民家として活かす、空家バンクに登録する、売却する——それぞれの選択肢にメリットと注意点があり、建物の状態やエリアの特性によっても最適な答えは変わってきます。
大切なのは「わからないまま放置しない」ことです。つくば研究学園都市店では、つくば市内の実家・空き家・古民家に関するご相談を、売却前提ではなく幅広い選択肢の中からお伺いしています。まずはお気軽にご相談ください。



