「土浦市 ハザードマップ」と検索すると、たいてい洪水のマップにたどり着きます。ところが土浦市が公開しているのは、洪水だけではありません。2026年8月時点で8種類。しかも、それを作っている部署は防災危機管理課・下水道課・建築指導課の3つに分かれています。
自分の家がどのマップを見るべきか分からないまま、洪水マップだけ確認して終わってしまう。これは、かなりもったいない。この記事では、ハウスドゥ つくば研究学園都市が、土浦市公式ホームページの一次情報をもとに8種類を整理し、家を売るときに何が問われるところまで通して解説します。
土浦市のハザードマップは8種類ある
まず全体像です。土浦市公式ホームページの「ハザードマップ」の階層に並んでいるのは、次の8つです。

8つのマップで、それぞれ何がわかるのか
- 洪水ハザードマップ/霞ヶ浦・桜川ほか9河川があふれたときの浸水想定区域と浸水深
- 内水ハザードマップ/排水が追いつかずに起こる浸水と、急傾斜崩壊危険箇所
- 土砂災害ハザードマップ(土砂災害避難地図)/土砂災害のおそれがある区域と避難所。全体図+拡大16面
- 液状化危険度マップ/地震のときに液状化するおそれの分布(2面)
- 道路冠水マップ/大雨で冠水しやすい道路の位置
- 揺れやすさマップ/想定される地震での揺れを震度で評価
- 地域危険度マップ/約50メートル四方ごとの建物全壊率
- 聴こえるハザードマップ/音声データ版
探しにくいのは、所管課が3つに分かれているから
各ページの問い合わせ先を見ると、担当がきれいに分かれています。洪水・土砂災害・液状化・聴こえるハザードマップは防災危機管理課。内水ハザードマップは下水道課。揺れやすさマップと地域危険度マップは建築指導課です。
住んでいる側からすれば全部「防災の地図」ですが、作る側では別物として管理されている。だから1枚見ただけでは、土浦市の災害リスクの全体像はつかめません。逆に言えば、8つの存在さえ知っていれば、必要な1〜2枚に最短でたどり着けます。
洪水ハザードマップ|霞ヶ浦・桜川ほか9河川が対象
土浦市の洪水ハザードマップは、水防法第15条第3項にもとづいて作られています。対象は9河川。洪水予報河川である霞ヶ浦・桜川に加えて、乙戸川・花室川・備前川・新川・境川・天ノ川・上備前川が含まれます。
「洪水予報河川」は霞ヶ浦と桜川の2つ
霞ヶ浦を管理するのは国土交通省霞ヶ浦河川事務所で、浸水想定区域の指定は平成28年8月18日。雨量条件は流域全体に192時間総雨量で853ミリメートル(72時間想定最大規模降雨量は660ミリメートル)という、かなり長時間の降り続きを前提にした設定です。
一方の桜川は茨城県の管理で、指定は平成29年9月28日。48時間総雨量746ミリメートル、ピーク時の1時間に77ミリメートルという条件でした。湖と河川で、想定している雨の降り方そのものが違います。
令和5年10月24日、県管理の7河川が一気に追加された
見落とされがちなのがここです。令和5年(2023年)10月24日、茨城県から県管理河川の洪水浸水想定区域が新たに公表され、土浦市では利根川水系の乙戸川・花室川・備前川・新川・境川・天ノ川・上備前川の7河川に区域が追加されました。
この7本はいわゆる中小河川で、雨量条件は24時間や48時間の総雨量。ピーク時の1時間雨量に注目すると、天ノ川が186ミリメートル、備前川が148ミリメートル、花室川と新川が147ミリメートルと、霞ヶ浦や桜川の設定よりはるかに激しい。短時間の猛烈な雨を想定しているわけです。
2023年より前に土浦市で家を買った方は、購入時の重要事項説明にこの7河川の情報が含まれていません。持ち家の方こそ、一度見直す価値があります。
| 河川名 | 管理主体 | 指定年月日 | 雨量条件 |
|---|---|---|---|
| 霞ヶ浦 | 国土交通省霞ヶ浦河川事務所 | 平成28年8月18日 | 192時間総雨量853mm(72時間想定最大660mm) |
| 桜川 | 茨城県 | 平成29年9月28日 | 48時間総雨量746mm/ピーク1時間77mm |
| 乙戸川 | 茨城県 | 令和5年10月24日 | 24時間総雨量678mm/ピーク1時間87mm |
| 花室川 | 茨城県 | 令和5年10月24日 | 24時間総雨量686mm/ピーク1時間147mm |
| 備前川 | 茨城県 | 令和5年10月24日 | 24時間総雨量690mm/ピーク1時間148mm |
| 新川 | 茨城県 | 令和5年10月24日 | 24時間総雨量690mm/ピーク1時間147mm |
| 境川 | 茨城県 | 令和5年10月24日 | 24時間総雨量690mm/ピーク1時間146mm |
| 天ノ川 | 茨城県 | 令和5年10月24日 | 24時間総雨量631mm/ピーク1時間186mm |
| 上備前川 | 茨城県 | 令和5年10月24日 | 48時間総雨量746mm/ピーク1時間77mm |
(出典:土浦市公式ホームページ「土浦市洪水ハザードマップ」。数値は指定時の想定最大規模条件です)
内水ハザードマップ|出発点は平成20年8月の集中豪雨
土浦市の内水ハザードマップは、平成20年8月に市が集中豪雨に見舞われたことをきっかけに作られたものです。所管は下水道課。
「内水」というのは、川があふれる前の段階で、排水路や下水道の処理能力を超えて水があふれる現象を指します。地図面には想定される浸水区域と浸水深のほか、急傾斜崩壊危険箇所も重ねて表示されています。記事面のほうには、浸水のメカニズム、避難情報の取得方法、家庭でできる浸水対策、持ち物チェックリストまで載っています。
洪水マップが「川が危ないとき」の地図なら、内水マップは「短時間で強い雨が降ったとき」の地図です。土浦駅周辺のような市街地で実際に体感しやすいのは、どちらかといえば後者でしょう。ただし更新日は2013年6月と古いため、最新の降雨想定は前述の令和5年追加指定とあわせて確認してください。
土砂災害ハザードマップ|平地のまちに16面の避難地図
霞ヶ浦の西岸に開けた土浦市で土砂災害、と聞くとぴんと来ないかもしれません。実際には市は「土砂災害避難地図」を全体図に加えて16面の拡大地図として公開しています。事前に危険な場所を知り、危険を感じたらできる限り早く自主避難してもらうことが目的、と市は説明しています。
16面がカバーする地区
- 小野・東城寺/永井・本郷・小野
- 藤沢・上坂田/常名・下坂田/上坂田・下坂田
- 木田余・板谷・神立町/神立町
- 真鍋・東真鍋町・西真鍋町・殿里・木田余・木田余西台
- 木田余・木田余東台・手野町・田村町/田村町・沖宿町
- 下高津・中高津・上高津・上高津新町
- 下高津・中高津・国分町・富士崎・小松・小松ヶ丘町・桜ヶ丘町・千鳥ヶ丘町
- 下高津・天川・富士崎・小松ヶ丘町・桜ヶ丘町・永国・永国東町・中・小岩田西
- 小松・小松ヶ丘町・桜ヶ丘町・千鳥ヶ丘町・霞ヶ岡町・大岩田・小岩田西・小岩田東
- 烏山・小岩田西・小岩田東/中・右籾
台地の縁に住宅地が広がる、土浦の地形
この一覧をよく見てください。小野・東城寺・永井・本郷といった新治側の山地だけではありません。下高津・中高津・上高津、小松・小松ヶ丘町・桜ヶ丘町・千鳥ヶ丘町、真鍋・東真鍋町・西真鍋町と、市街地の地名がずらりと並んでいます。
土浦の市街地は、霞ヶ浦沿いの低地と、その背後に広がる台地との境目に発達してきました。台地の縁は、つまり斜面です。江戸期に水運と宿場の商都として低地に町ができ、のちに台地の上へ住宅地が伸びた土浦では、その境目の傾斜地に家が並ぶ場所が少なくありません。「平らなまちだから土砂災害は無関係」という思い込みが、いちばん危ない。
地震に備える3つのマップ
水の話が続きましたが、土浦市は地震向けにも3種類を用意しています。所管が防災危機管理課と建築指導課に分かれているため、まとめて見つけにくい部分です。
揺れやすさマップ
発生のおそれがある地震による揺れやすさを「震度」として評価し、居住地が分かる地図の上に表現したもの(所管:建築指導課)。同じ市内でも、地盤によって揺れ方が変わることを可視化した1枚です。
地域危険度マップ|約50メートル四方ごとの建物全壊率
揺れやすさマップで示した震度になった場合に、建物が全壊する割合を約50メートル四方に分割した区画ごとに表したものです。市は、阪神大震災の死者のうち約8割が建物・家具による圧死といわれていることを挙げ、住宅の耐震化の重要性を呼びかけています。
50メートル四方という細かさは、実質的に「街区単位」です。旧耐震基準の住宅を持っている方、耐震改修と建て替えのどちらにするか迷っている方は、揺れやすさマップとこの1枚をセットで見ると判断材料が増えます。
液状化危険度マップ
2面構成で公開されています(所管:防災危機管理課)。霞ヶ浦沿岸や旧河道にあたる低地では、揺れそのものより液状化のほうが建物への影響として大きく出る場合があります。基礎や地盤改良の必要性を検討するときの入口になる資料です。
道路冠水マップと「聴こえるハザードマップ」
この2つはあまり知られていませんが、実際の行動にはいちばん近い情報かもしれません。
道路冠水マップは、大雨のときに冠水しやすい道路の位置を示したものです。通勤・通学ルートの選び方や、車で避難する場合の経路を決めるときに効きます。浸水想定区域の外に住んでいても、通り道が冠水すれば移動できません。
聴こえるハザードマップは音声データ版です。目の不自由な方はもちろん、細かい地図が読みにくくなった高齢のご家族と一緒に確認するときにも使えます。実家の防災を離れて暮らす子世代が確認する場面でも役立ちます。
エリア別・先に見ておきたいマップ
以下は市公式のマップと地形の傾向から整理した目安です。実際の判定は必ず土浦市公式のマップで、住所単位で確認してください。
土浦駅周辺・中心市街地
霞ヶ浦と桜川に挟まれた低地にあたるため、洪水ハザードマップと内水ハザードマップの2枚が基本です。中心市街地は排水施設に依存する面が大きく、短時間の強雨での内水も想定しておきたいところ。道路冠水マップも合わせて見ておくと、いざというときの移動判断が変わります。
神立・木田余エリア
土砂災害避難地図では「木田余・板谷・神立町」「神立町」の2面が割り当てられています。平坦な工業・住宅地のイメージが強いエリアですが、部分的に傾斜地を含みます。加えて備前川・上備前川の追加指定区域とも関係する位置関係にあるため、令和5年指定分の確認をおすすめします。
下高津・小松・桜ヶ丘町など台地の縁
16面のうち4面がこの一帯に集中しています。住宅地として人気のあるエリアですが、台地と低地の境目にあたり、斜面の近さは1本の道で変わることも珍しくありません。土砂災害避難地図に加えて、揺れやすさ・地域危険度の2枚も見ておく価値があります。
新治・藤沢・山ノ荘エリア
小野・東城寺・永井・本郷・藤沢・上坂田といった地名が並ぶ、市の北西部です。土砂災害避難地図が最優先。あわせて桜川水系の浸水想定と、内水マップに載る急傾斜崩壊危険箇所も確認しておきたいエリアです。
家を売るとき、ハザードマップは必ず説明される
ここからは、不動産会社の立場でしか書けない部分です。
2020年8月28日から、重要事項説明の義務項目に
宅地建物取引業法施行規則の改正により、2020年(令和2年)8月28日から、不動産取引の際に水害ハザードマップ上での対象物件の所在地を説明することが義務づけられました(国土交通省)。説明の方法は、ハザードマップを示しながら取引対象の物件の位置を指し示す形で、ハザードマップを重要事項説明書の添付図面とすることが想定されています。
つまり土浦市で家や土地を売るとき、買主は契約前に必ず、洪水・内水のマップ上で「あなたが買う物件はここです」と示されます。売主が知らないままでは、話が進みません。
浸水想定区域だから売れない、ということではない
ここは誤解されやすいところです。想定区域に入っていること自体が売買を妨げるわけではありません。土浦市の場合、霞ヶ浦と桜川に沿った広い範囲が区域に含まれます。ここが全部売れないのなら、市街地の取引そのものが成り立ちません。
実務で効いてくるのは、想定される浸水深がどのくらいか、過去に実際の浸水歴があるか、敷地は前面道路よりどれだけ高いか、基礎の高さはどうか、といった具体の条件のほうです。
売主が先に把握しておくと、交渉が楽になる
買主が重要事項説明ではじめて浸水想定を知ると、そこで一度立ち止まります。逆に、売主の側が「区域内だが想定浸水深はこの範囲」「敷地は道路より高い」「過去に浸水した記録はない」と説明できる状態にしておけば、話は止まりにくくなります。
当社では査定の段階で、土浦市の各マップと物件の位置を照らし合わせ、価格への影響の有無をお伝えしています。宅地建物取引業法第34条の2第2項では、査定額を示す際にその根拠を明らかにすることが求められています。ハザード情報も、その根拠のひとつです。実際の売却事例は売却査定実績とお客様の声のページでご覧いただけます。
土浦市の人口・地価の目安(2026年)
最後に、住まいの判断材料として基本データを添えておきます。
- 常住人口:141,368人/世帯数:68,749世帯(茨城県統計課調べ・令和8年4月1日現在)
- 公示地価(市全体の住宅地平均):30,723円/m²・前年比+0.8%(2026年・目安)
- 土浦駅周辺の公示地価平均:36,676円/m²(坪121,243円)・前年比+0.68%(2026年・民間集計tochidai.info・目安)
地価は緩やかな上昇傾向にあります。エリアごとの事情は土浦市の住みやすさ|霞ヶ浦・交通・地価【2026】、通勤の実態は土浦市の交通アクセス|3駅の実態と所要時間【2026】にまとめています。相続した実家や空き家の扱いに迷っている方は土浦市の実家・空き家|5つの選択肢【2026】もあわせてどうぞ。土浦市の対応エリアや売却の流れは土浦市の不動産売却・買取・査定ページにまとめています。
近隣市の防災情報は、つくば市の防災ハザードマップ徹底解説【2026】と牛久市の防災・ハザードマップ完全ガイド【2026】で解説しています。市が変わると公開しているマップの種類も変わるため、隣の市に住み替える方は見比べてみてください。
よくあるご質問
土浦市のハザードマップはどこで見られますか?
土浦市公式ホームページの「安心・安全」から「防災」→「ハザードマップ」と進むと、8種類すべてのページが一覧で並んでいます。洪水・土砂災害・液状化・聴こえるハザードマップは防災危機管理課、内水ハザードマップは下水道課、揺れやすさマップと地域危険度マップは建築指導課が所管しています。
土浦市の洪水ハザードマップは何本の川が対象ですか?
9河川です。洪水予報河川の霞ヶ浦・桜川に加え、乙戸川・花室川・備前川・新川・境川・天ノ川・上備前川が対象です。このうち後半の7河川は令和5年10月24日に茨城県から新たに洪水浸水想定区域が公表され、追加指定されました。
土浦市でも土砂災害の危険はありますか?
あります。土浦市は土砂災害避難地図を全体図と16面の拡大地図で公開しており、対象には小野・東城寺・永井・本郷といった北西部だけでなく、下高津・中高津・上高津、小松・桜ヶ丘町・千鳥ヶ丘町、真鍋といった市街地の地名も含まれます。台地と低地の境目にあたる斜面が市街地内にあるためです。
浸水想定区域に入っている家は売れないのですか?
売れないということはありません。土浦市では霞ヶ浦・桜川沿いの広い範囲が想定区域に含まれるため、区域に入っていること自体は取引を妨げません。実務で影響するのは、想定される浸水深、過去の浸水歴の有無、敷地や基礎の高さといった具体的な条件です。
家を売るときにハザードマップの説明は必要ですか?
必要です。宅地建物取引業法施行規則の改正により、2020年8月28日から、不動産取引の際に水害ハザードマップにおける対象物件の所在地を説明することが義務づけられています。買主にはハザードマップを示しながら物件の位置が伝えられます。
土浦市の不動産の査定や売却の相談はできますか?
はい。ハウスドゥ つくば研究学園都市では、土浦市の不動産の無料査定・売却のご相談を承っています。査定の際は土浦市の各ハザードマップと物件の位置を照らし合わせ、価格への影響の有無もあわせてご説明します。お電話(0120-565-072)、LINE、ご相談フォームからお問い合わせください。
まとめ
土浦市のハザードマップは8種類。所管課が3つに分かれているため全体像が見えにくく、洪水マップだけ見て終わりがちです。洪水は9河川が対象で、うち7河川は令和5年10月24日の追加指定。平地のまちに見えて土砂災害避難地図は16面あり、下高津・小松・桜ヶ丘町・真鍋といった市街地の地名も含まれます。地震向けには揺れやすさ・地域危険度・液状化の3枚。
そして家を売るときには、2020年8月28日から水害ハザードマップ上の物件所在地の説明が義務になっています。区域に入っていること自体は売却の妨げになりません。先に知っておくかどうかが、交渉のしやすさを分けます。
土浦市の不動産の売却・買取・無料査定は、ハウスドゥ つくば研究学園都市へお気軽にご相談ください。ハザード情報も含めて、根拠をお示ししながらご説明します。
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