「売った家を、あとで買い戻せる」という話を聞いて、契約書に出てくる買戻し特約(「買い戻し特約」と書かれることもあります)と再売買予約の違いが分からなくなった、という方は少なくありません。この記事では、つくば市で不動産売却やリースバックを検討している方に向けて、民法上の買戻し特約と再売買予約の違い、期間・登記・返還額の考え方、そして売却前に契約書で確認したい点を整理します。
- 結論:「買い戻せる」という言葉だけでは、権利の中身は分かりません
- 買戻し特約とは?民法579条のしくみ
- 買戻しの期間は最長10年|民法580条
- 買戻し特約の登記と、第三者への主張|民法581条
- 再売買予約とは?民法556条「売買の一方の予約」
- 買戻し特約と再売買予約の違い【比較表】
- リースバックの契約書で見分けるチェックポイント
- 登記事項証明書で、買戻しの特約の登記を確認する
- 期間が過ぎた買戻し特約の登記は、自動では消えません
- 売買の形でも、実質が「借入の担保」の場合は扱いが変わることがあります
- つくば市で売却を考えるときの進め方
- よくある質問
- 参考にした一次資料
- つくば市の売却相談は、ハウスドゥ つくば研究学園都市店へ
結論:「買い戻せる」という言葉だけでは、権利の中身は分かりません
売却後に取り戻せる可能性がある仕組みには、民法に定めのある買戻し特約のほかに、契約で内容を決める再売買の予約などがあります。どちらも「将来、元の売主が不動産を取り戻す」という目的は似ていますが、付ける時期・期間の上限・返還額の決め方・登記の方法が異なります。契約書の見出しだけで判断せず、条項の中身と登記事項証明書で確かめることが出発点です。一般のリースバックのしくみや家賃の比較は、別記事のリースバックとは?仕組み・メリット/デメリットで解説しているため、ここでは「契約書上の制度の見分け方」に絞ります。
買戻し特約とは?民法579条のしくみ
買戻し特約は、民法579条に定められた制度です。条文では、不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、買主が支払った代金(別段の合意をした場合はその合意で定めた金額)と契約の費用を返還して、売買の解除をすることができるとされています(e-Gov法令検索:民法)。ポイントは次の3つです。
- 対象は不動産:民法579条は「不動産の売主」を前提にした規定です。
- 売買契約と同時に定める:売買が終わったあとから、特約だけを付け足すという形にはなりません。
- 返還して「解除」する:買主に代金(または合意した金額)と契約費用を返還して、売買契約を解除する形をとります。
なお、民法579条には、当事者が別段の意思を表示しなかったときは、不動産の果実と代金の利息は相殺したものとみなす、という定めもあります。実際の契約では、この点を含めて条項でどう定めているかを確認します。
買戻しの期間は最長10年|民法580条
買戻しの期間は、民法580条で上限が決まっています。
- 買戻しの期間は10年を超えることができません。特約でこれより長い期間を定めても、その期間は10年になります。
- 買戻しについて期間を定めたときは、その後に延ばす(伸長する)ことはできません。
- 買戻しについて期間を定めなかったときは、5年以内に買戻しをしなければなりません。
つまり、「何年でも買い戻せる」「期間は後から相談して延ばせる」という説明は、民法上の買戻し特約には当てはまりません。契約書に「○年以内」と書いてあるのか、期間の記載が無いのかを、まず確認してください。
買戻し特約の登記と、第三者への主張|民法581条
民法581条1項は、売買契約と同時に買戻しの特約を登記したときは、買戻しは第三者に対抗することができると定めています。たとえば、買主が不動産をさらに第三者へ売った場合でも、登記がされていれば、買戻しを第三者に主張できる、という考え方です。反対に、登記がなければ、第三者に主張しにくくなるおそれがあります。
また、同条2項は、登記がされたあとに借地借家法などの対抗要件(民法605条の2第1項)を備えた賃借人の権利は、その残存期間中1年を超えない期間に限り、売主に対抗できると定めています(売主を害する目的で賃貸借をしたときを除く)。買戻し特約付きの不動産では、登記の有無と、あとから貸した賃貸借の扱いも確認項目になります。
再売買予約とは?民法556条「売買の一方の予約」
再売買予約は、「売ったあとに、再び売買をする」ことをあらかじめ約束しておく方法です。民法556条1項は、売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から売買の効力を生ずると定めています。同条2項は、完結の意思表示の期間を定めなかったときは、予約者が相当の期間を定めて確答を催告でき、その期間内に確答しないと予約の効力を失う、としています。
買戻し特約と違って、期間の上限や返還額のきまりが民法579〜580条のようには決まっておらず、契約で内容を定めるのが一般的です。そのぶん、契約書にどう書かれているか(いつまで、いくらで、どんな条件で再び売買が成立するのか)が、すべてを左右します。予約完結権には、消滅時効が関わることもあります。時効の起算点や期間は契約の時期によって扱いが変わる場合があるため、具体的な契約については司法書士・弁護士へご確認ください。
買戻し特約と再売買予約の違い【比較表】

| 確認項目 | 買戻し特約 | 再売買予約 |
|---|---|---|
| 根拠 | 民法579〜581条 | 民法556条(売買の一方の予約)など |
| 付ける時期 | 売買契約と同時 | 契約で定める(売買契約と同時とは限らない) |
| 期間 | 最長10年/定めなければ5年以内。後から延ばせない | 民法上の「10年」の上限は当てはまらず、契約で定めるのが一般的 |
| 返還額 | 買主が支払った代金(別段の合意があればその金額)+契約の費用 | 契約で定める |
| 第三者への主張 | 売買契約と同時に特約を登記すれば対抗できる | 一般に、仮登記などの方法が使われる(個別の効力は専門家へ) |
| 契約書で見る場所 | 「買戻し」「買戻特約」の条項、登記事項証明書の記載 | 「再売買」「予約」「予約完結権」の条項、仮登記の有無 |
表は一般的な整理であり、個別の契約の効力を保証するものではありません。実際の契約が、どの制度に当たるのかは、条項の文言・当事者の合意の内容・登記の有無を踏まえて判断することになります。
リースバックの契約書で見分けるチェックポイント
自宅をリースバックで売却する場合、将来の再購入について「買戻し」と説明されることがあります。ただし、契約書の名称や営業担当者の説明だけでは、民法の買戻し特約なのか、再売買の予約なのか、あるいは別の形なのかは分かりません。契約前に、次の点を書面で確認してください。
- 制度の名称と条項:「買戻し特約」「再売買の予約」「買戻し条項」など、どの文言で書かれているか
- 相手方:買い戻しの相手が誰で、売却先と同じか
- 返還額(買い戻す価格):金額が決まっているのか、算定方法だけ書かれているのか
- 期限:いつまでに意思表示と支払いが必要か、延長できるのか
- 条件:家賃の滞納や契約違反があった場合の扱い
- 登記:買戻し特約の登記や仮登記を行う内容になっているか
- 賃貸借契約との関係:家賃・契約期間・更新と、買戻しの期限の関係
「いつでも買い戻せる」「自分で決めた価格で買い戻せる」といった口頭の説明は、書面に書かれていなければ確認できません。買戻しの価格や期限が曖昧なままの場合は、署名の前に専門家へ相談しましょう。リースバックでの注意点は、別記事のリースバックトラブル【5つの事例】と回避策、リースバックトラブル事例と対策も参考になります。
登記事項証明書で、買戻しの特約の登記を確認する
売却を考えている不動産、または購入した不動産に買戻しの特約が付いているかどうかは、登記事項証明書(登記簿の写し)で確認できる場合があります。特約の登記がある場合は、権利部(甲区)に、買戻しに関する事項(買戻権者、代金、契約の費用、期間など)が記載されるのが一般的です。確認したいのは次の点です。
- 買戻しの特約の登記があるか(無い場合でも、契約書に特約がある可能性はあります)
- 期間(いつまでか)と、契約日
- 買戻権者が誰か
- 仮登記など、買戻し以外の権利に関する登記が付いていないか
登記の読み方や取得方法に不安があるときは、法務局や司法書士に確認できます。売却の相談では、登記事項証明書と売買契約書を、あわせてお持ちいただくと話がスムーズです。
期間が過ぎた買戻し特約の登記は、自動では消えません
買戻しの期間が過ぎれば、買戻しの権利そのものはなくなると考えられますが、登記簿の記載が自動で消えるわけではありません。不動産を売却するときに登記が残っていると、買主側が不安を感じやすくなります。不動産登記法69条の2は、買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から10年を経過したときは、登記権利者が単独で抹消を申請できると定めています(e-Gov法令検索:不動産登記法)。
10年が経過していない場合や、必要書類・申請先の細かい取り扱いは、事案によって異なります。抹消を検討するときは、法務局または司法書士にご確認ください。抵当権の抹消とは手続きが別ですが、売却前の登記の整理という点では共通します。抵当権のほうは、抵当権抹消登記の手続きで解説しています。
売買の形でも、実質が「借入の担保」の場合は扱いが変わることがあります
国税庁の国税徴収法基本通達(第24条関係・譲渡担保権者の物的納税責任)では、債務の担保のために財産を譲渡する「譲渡担保」の一つの形として、買戻特約付売買や再売買の予約の形式をとるものがあると説明されています(国税庁:第24条関係)。形式は「売買」でも、実質がお金を借りる担保として使われている場合には、権利関係や税金の扱いが通常の売却と異なることがあります。
ただし、この通達は、リースバックを含むすべての買戻し・再売買の契約に一律に当てはまるものではありません。ご自身の契約がどれに当たるのかは、契約書の内容によって決まるため、弁護士・司法書士・税理士などの専門家にご確認ください。
つくば市で売却を考えるときの進め方
リースバックや親族間の売買、あるいは過去に購入した土地に付いていた特約など、買戻しや再売買の約束が「いつ・どんな契約で付いたのか」は、手元の書類から確認する必要があります。次の順番で整理すると、相談しやすくなります。
- 売買契約書・覚書・重要事項説明書を探し、「買戻し」「再売買」「予約」の文言を確認する
- 登記事項証明書を取得し、特約の登記・仮登記の有無を確認する
- 期間・返還額・相手方・条件を一覧にし、分からない点をメモにする
- 司法書士・弁護士などに、契約の性質と効力を確認する
- 売却の時期と進め方を、不動産会社と相談する
買戻しに関する登記や契約の効力の判断は、不動産会社だけでは行えません。ハウスドゥ つくば研究学園都市店では、お持ちの書類をもとに、売却の進め方や必要な確認事項を一緒に整理します。買戻しへの対応や、将来の再購入の実現をお約束するものではありません。
よくある質問
買戻し特約を付けておけば、売却したあとも必ず買い戻せますか?
必ず買い戻せるとは言えません。民法上の買戻しは、売買契約と同時に特約を定め、定めた期間内に、買主が支払った代金(別段の合意があればその金額)と契約の費用を返還して売買を解除する仕組みです。期間は10年を超えられず、期間を定めなかった場合は5年以内に買戻しをしなければなりません。資金の準備や、契約書の条項の内容次第で、実際に買い戻せるかどうかは変わります。
買戻し特約と再売買予約は、同じものですか?
同じではありません。買戻し特約は売買契約と同時に定める民法上の制度で、期間の上限が決まっています。再売買予約は「売買の一方の予約」として契約で内容を定める方法で、期間や金額は契約で決めるのが一般的です。契約書の見出しに「買戻し」とあっても、条項の中身が再売買の予約である場合があるため、名称だけで判断せず、条項と登記の両方を確認してください。
買戻し特約の期間が過ぎたら、登記は自動で消えますか?
自動では消えません。期間が過ぎても、登記簿に買戻しの特約の登記が残っていることがあります。不動産登記法69条の2では、契約の日から10年を経過したとき、登記権利者が単独で抹消を申請できるとされています。具体的な手続きや必要書類は、法務局または司法書士にご確認ください。
リースバックの契約書に「買戻し」と書いてあれば安心ですか?
安心とは言い切れません。買戻しの価格・期限・条件、相手方、家賃や賃貸借との関係は契約ごとに違います。「将来買い戻せる」という説明を受けた場合でも、書面に価格の決め方や期限、条件が明記されているかを確認することが大切です。契約前または契約後の不安は、弁護士や司法書士などの専門家にもご相談ください。
買戻し特約付きの家は、売却できますか?
買戻しの期間中は、買戻し権者(元の売主)が権利を行使する可能性があるため、買主から見て不安が残る物件として扱われやすく、売却の進め方に注意が必要です。まずは登記事項証明書で特約の登記の有無・期間・買戻し権者を確認し、契約書とあわせて、不動産会社や司法書士に相談してください。
参考にした一次資料
つくば市の売却相談は、ハウスドゥ つくば研究学園都市店へ
売買契約書や登記事項証明書をお持ちのうえで、お気軽にご相談ください。売却条件の整理をお手伝いします。契約の効力や登記の可否、税金の個別判断は、専門家・行政の確認が必要です。
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