結論から言うと、売却のために合筆登記が必ず必要になるとは限りません。複数の土地(筆)をまとめて売ることと、登記上で数筆を1筆にまとめる合筆登記は、別の話です。この記事では、つくば市で複数筆の土地を売る前に、売主さんが先にそろえておくと相談がスムーズになる確認表と、問い合わせ先の役割分担を整理します。

(2026年11月時点の一般的な情報の整理です。)なお、合筆ができるかどうかの最終判断や合筆登記の申請(表示に関する登記)は土地家屋調査士や管轄の法務局、抵当権などの権利の整理は司法書士の領域です。ここで書くのは「相談に行く前の事前確認と準備」であり、個々の土地について合筆できる・できないを断定するものではありません。

目次
  1. 結論|合筆登記は「売却前に全件必要」ではない
  2. 複数筆の一括売却と合筆登記は別の話
  3. 合筆とは?数筆の土地を1筆にまとめる登記
  4. 合筆できない条件|一般に挙げられる要件
    1. 互いに接していない(隣接していない)
    2. 地目が異なる
    3. 所在地や地番区域が異なる
    4. 所有者が異なる、持分が異なる
    5. 所有権の登記がある土地とない土地が混ざっている
    6. 抵当権など、所有権以外の権利の登記がある
  5. 筆ごとにそろえる確認表(売却相談の前に)
  6. 固定資産税の課税明細書も手がかりになる
  7. つくば市での照会先と役割分担
  8. 売却の場面別|合筆を先にする?しない?
    1. 隣り合う2筆をまとめて1つの土地として売りたい
    2. 共有名義の土地で、筆ごとの持分が違う
    3. 片方の筆に抵当権が残っている
    4. 筆同士の地目が違う、または同じ筆の登記と現況がずれている
  9. 費用と期間は個別の見積もりで決まる
  10. よくある勘違い
  11. 売却相談の前にそろえておく資料
  12. よくある質問
    1. Q. 合筆登記は、土地を売る前に必ずしなければなりませんか?
    2. Q. 合筆できるかどうかは、誰に聞けばよいですか?
    3. Q. 抵当権がついていても合筆できることはありますか?
    4. Q. 合筆すると固定資産税は安くなりますか?
    5. Q. 費用や期間はどのくらいかかりますか?
    6. Q. 相続した土地で共有になっています。合筆はできますか?
    7. Q. 複数筆の土地売却を、まず不動産会社に相談しても構いませんか?
  13. まとめ|まず筆ごとの確認表を作ってから相談を
  14. あわせて読みたい
  15. 参考にした公的・専門団体の情報

結論|合筆登記は「売却前に全件必要」ではない

隣り合う複数の土地を一緒に売りたい場合でも、登記上の筆が複数のまま売買できる場面はあります。一方で、買主さんが「1つの土地として使いたい」「1筆にしてほしい」と条件を出してくることもあり、その場合は売買の前後に合筆を検討することになります。つまり、合筆するかどうかは「売買の対象」「買主さんの条件」「土地ごとの権利関係」の3つで決まり、売主さんの側で一律に決められるものではありません。

  • 複数筆の一括売却=売買契約の話(どの土地を、いくらで、誰に売るか)
  • 合筆登記=登記の話(数筆を1筆にまとめる、要件を満たす土地だけが対象)
  • 合筆できるか/するべきか=専門家と管轄窓口、買主さんの条件を踏まえて相談

複数筆の一括売却と合筆登記は別の話

「筆(ふで・ひつ)」とは、登記簿上で1つの土地として数える単位のことです。1つの敷地に見えても、登記上は2筆、3筆に分かれていることがあります。たとえば相続で受け継いだ土地、昔に買い足した隣地、駐車場として使ってきた隣の土地などで、長年別々の筆として管理されてきたケースも少なくありません。

複数筆をまとめて売るときは、まず売買の対象となる土地の範囲と、それぞれの筆の登記内容を確認します。合筆登記は、その確認の結果として「1筆にまとめたほうが売買が進みやすい」と判断された場合の選択肢の1つにすぎません。下の図は、売却前によく混同される4つの手続きの目的を並べたものです。

合筆登記・分筆登記・地積更正登記と複数筆の一括売却の目的のちがいを比べた図(つくば市の土地売却前の整理用)

分筆登記は「1筆を分けて一部だけ売る」ときに使う登記で、この考え方は土地の一部だけ売りたいときの方法(分筆する・しない別の費用・手続き・注意点)で扱っています。登記上の面積と実測が違うと分かった場合は、地積更正という別の登記が関わります。このページでは、数筆を1筆にまとめる合筆と、複数筆を売る前の確認に絞って説明します。

合筆とは?数筆の土地を1筆にまとめる登記

合筆登記とは、数筆の土地を1筆の土地にまとめる登記です。登記は大きく「表示に関する登記」(土地の所在・地番・地目・地積などの物理的な状況の登記)と「権利に関する登記」(所有権・抵当権などの権利の登記)に分かれ、合筆は表示に関する登記の1つです。表示に関する登記は土地家屋調査士の業務、権利に関する登記は司法書士の業務、という役割分担が一般的です。

合筆をすると、まとめられた土地の登記記録は1つになり、地番も1つにまとまります。売却の場面では、契約書・図面・重要事項説明書に書く地番が、合筆の前後でずれないように注意が必要です。手元の資料の地番が古いまま、ということもあります。登記事項証明書の見方は登記簿(登記事項証明書)の見方|表題部・甲区・乙区で売却前に、地番と住所のちがいは地番と住所の違いとは?調べ方と売買前の確認点でも整理しています。

合筆できない条件|一般に挙げられる要件

合筆には要件があり、条件を満たさない土地同士は合筆できません。最終的な要件は法令と登記の内容で決まりますが、一般に次のような点が挙げられます。自分の土地がどれに当てはまるかを、後述の確認表で筆ごとに書き出してみてください。

互いに接していない(隣接していない)

離れた場所にある土地同士は、通常は合筆の対象になりません。公図や現地で、どの筆とどの筆が隣り合っているかを確認します。

地目が異なる

地目(宅地・畑・雑種地など)が筆同士で違う場合は、そのままでは合筆できないとされます。これとは別に、同じ1筆の中で登記上の地目と現況の状態がずれている場合もあるため、登記地目と現況地目を分けて確認します。雑種地と登記地目・現況の確認については雑種地とは?売却前に確認する登記地目・現況・建築制限と資料の整理が参考になります。

所在地や地番区域が異なる

土地の所在地や地番区域が違う場合も、要件を満たさないとされます。つくば市内の隣り合う土地でも、エリアによっては地番区域が分かれている場合があるため、地番だけでなく所在地(「所在」)の表記も確認します。

所有者が異なる、持分が異なる

所有者が違う土地同士は合筆できません。共有の場合は、持分の割合が筆ごとに違うときも要件を満たさないとされます。相続で共有になっている土地は、筆ごとの持分を必ず並べて見ておきます。

所有権の登記がある土地とない土地が混ざっている

所有権の登記がある土地と、ない土地(表題部だけの土地)を一緒にすることは、原則としてできないとされます。未登記の土地が混ざっていないかも、登記事項証明書で確認します。

抵当権など、所有権以外の権利の登記がある

抵当権など、担保として設定された権利の登記がある土地は、原則として合筆に制限があるとされます。ただし「抵当権があれば例外なく合筆できない」とは限らず、例外にあたる扱いもあるため、個別の確認が必要です。例外にあたるかどうかは、登記の内容と法令上の要件で決まります。登記事項証明書(乙区)を持って、土地家屋調査士や管轄の法務局、金融機関(債権者)に照会し、抵当権の抹消などの権利の整理が必要な場合は司法書士に相談してください。

ここまでが要件の概要です。ほかにも要件があり、自己判断で「できる」「できない」を決めないことが大切です。調査士会のよくある質問でも、要件を満たすかどうかは自己判断せず専門家に確認するよう案内されています。

筆ごとにそろえる確認表(売却相談の前に)

相談の際に、土地ごとの情報を表にしておくと、専門家も不動産会社も状況をつかみやすくなります。ノートなどに筆ごとの欄を作り、下の表の項目をそれぞれ記録してください。下の図は、筆ごとに書き込む記入欄のイメージ(空欄)です。お手元の登記事項証明書・公図・固定資産税の課税明細書を見ながら記入します。

つくば市の複数筆の土地を売る前に、地番・登記地目・現況地目・所有者と持分・抵当権などの権利・隣接を筆ごとに書き出す確認表(空欄)
確認項目 どこで確認するか 見るポイント
所在地・地番 登記事項証明書(表題部)、公図 契約書や図面の地番と一致しているか。古い地番のままになっていないか
登記地目 登記事項証明書(表題部)、固定資産税の課税明細書 合筆を考える筆同士で、登記上の地目がそろっているか
現況地目 現地の状況、課税明細書の現況欄 同じ筆の登記上の地目と実際の使い方にずれがないか
登記地積・現況地積 登記事項証明書、課税明細書、測量図があればその図面 登記上の面積と現況の面積に食い違いがないか
所有者・持分 登記事項証明書(甲区) 筆ごとに所有者が同じか。共有の場合は持分が同じか
抵当権などの権利 登記事項証明書(乙区) 権利の登記があるか。債権者(金融機関)はどこか
隣接関係 公図、現地確認 売買の対象の筆同士が隣り合っているか
境界・測量図の有無 手元の資料、地積測量図 測量図があるか。境界の確認が済んでいるか

表の中で、登記上の情報と現況が食い違う項目が見つかったら、それが「専門家に聞く質問」になります。測量図や面積の資料については、地積測量図と確定測量図の違い|手元の図面で売却準備を進める確認表、測量の進め方は土地の測量(確定測量)の流れと費用の決まり方が役に立ちます。

固定資産税の課税明細書も手がかりになる

つくば市から届く固定資産税の課税明細書には、土地について「登記地目」と「現況地目」、「登記地積」と「現況地積」が別の欄として載っています。登記上の内容と、市が把握している現況が違うかどうかを見る材料になります。複数筆を持っている場合は、筆ごとの行を見比べてみてください。

ただし、課税明細書は税額を計算する資料であり、登記の内容そのものではありません。また、合筆をしたからといって固定資産税が必ず下がる、といった判断はできません。税額への影響は、自分で見込みを立てず、課税明細書を持って市の担当課に確認するのが確実です。

つくば市での照会先と役割分担

複数筆を売る前に、「誰に何を聞くか」を事前に整理しておくと、相談先を行ったり来たりせずに済みます。つくば市の土地の不動産登記は、水戸地方法務局の「つくば出張所」が管轄です(土浦支局ではありません。商業・法人の登記の窓口とも別なので取り違えないよう注意してください)。

相談先 主な役割 聞くこと
水戸地方法務局 つくば出張所 不動産登記の管轄窓口 登記事項証明書の取り方、申請書・添付書面の考え方
土地家屋調査士 表示に関する登記、測量 合筆の可否、地目・地積・境界のずれ、必要な図面
司法書士 権利に関する登記 抵当権の抹消、相続登記、所有権移転登記の段取り
金融機関(債権者) 抵当権などの権利 権利を残したまま売れるか、抹消の条件と時期
つくば市(資産税の担当課) 固定資産税の課税 課税明細書の見方、現況地目・現況地積の扱い
不動産会社 売買の仲介・買取 売る範囲、買主さんの条件、契約の進め方

法務局の登記申請の案内は、申請書や添付書面の作り方・集め方の説明が中心で、売買契約の内容を相談する窓口とは役割が違います。「合筆できるか」は調査士・管轄窓口に、「この土地をいくらで、誰にどう売るか」は不動産会社に、と分けて相談すると整理しやすくなります。

売却の場面別|合筆を先にする?しない?

実際にどう動くかは、売買の条件によって変わります。よくある場面を、考え方の例として挙げます。いずれも一般的な考え方で、個別の土地について結論を出すものではありません。

隣り合う2筆をまとめて1つの土地として売りたい

買主さんが「1つの土地として建物を建てたい」と考えている場合でも、登記上の筆が2つのまま売買できることがあります。合筆が条件になるか、売買後に買主さんが行うかなどは、買主さんの意向と専門家の意見を踏まえて決めます。

共有名義の土地で、筆ごとの持分が違う

持分が筆ごとに違うと、そのままでは合筆の要件を満たさないとされます。無理に合筆しようとせず、共有者全員で売却の方針をそろえることが先になる場合が多くあります。

片方の筆に抵当権が残っている

権利の登記がある土地は、合筆に制限があるとされます。売却代金で完済して抹消するのか、先に抹消するのかなど、金融機関と買主さんの条件のすり合わせが必要です。司法書士への相談も早めにしておくと安心です。

筆同士の地目が違う、または同じ筆の登記と現況がずれている

筆同士の地目が異なる場合は、そのままでは合筆できないとされます。一方、同じ1筆の登記上の地目と現況にずれがある場合は、別の確認が必要です。地目の変更登記が必要か、農地であれば農地に関する手続きが必要かを、土地家屋調査士やつくば市の農業委員会に確認してください。

費用と期間は個別の見積もりで決まる

合筆登記の費用や期間は、土地の状況、必要な調査や図面、依頼する専門家によって変わります。この記事では金額や日数の目安を示しません。手続きに必要な時間も、図面の有無や権利関係で変わります。専門家に依頼する前に、見積もりと進め方を確認してください。複数の専門家から見積もりを取り、売買の日程と合わせて検討してください。登記の申請をしても、完了日や結果が保証されるわけではありません。

よくある勘違い

  • 「複数筆を売るなら、必ず先に合筆しなければならない」→ 売買の対象や買主さんの条件によります。
  • 「合筆すれば固定資産税が下がる・土地の価値が上がる」→ 一律には言えず、個別の確認が必要です。
  • 「抵当権があると、例外なく合筆できない」→ 原則制限はあるものの、例外もあるため個別に確認します。
  • 「隣り合っていれば、どの土地でも合筆できる」→ 地目・所有者・持分・権利の登記などの要件があります。

売却相談の前にそろえておく資料

  • 登記事項証明書(筆ごと。取得できる範囲で)
  • 公図、地積測量図、測量図などの図面
  • 固定資産税の課税明細書(直近のもの)
  • 登記済みの権利証や登記識別情報(保管場所の確認)
  • ローンの残債が分かる書類(抵当権がある場合)
  • 相続で取得した場合は、相続関係が分かる書類や遺産分割の状況のメモ
  • 筆ごとの確認表(このページの表を印刷または書き写したもの)

よくある質問

Q. 合筆登記は、土地を売る前に必ずしなければなりませんか?

必ずしも必要とは限りません。売買の対象や買主さんの条件、土地ごとの権利関係によって変わります。まず筆ごとの確認表を作り、専門家と不動産会社に相談して決めるのが安全です。

Q. 合筆できるかどうかは、誰に聞けばよいですか?

表示に関する登記を扱う土地家屋調査士と、つくば市の土地を管轄する水戸地方法務局つくば出張所が相談先です。抵当権の抹消や所有権の登記は司法書士の領域です。

Q. 抵当権がついていても合筆できることはありますか?

原則として制限がありますが、例外にあたる扱いもあるとされています。例外の有無は土地の登記内容によるため、自己判断せず専門家と債権者に確認してください。

Q. 合筆すると固定資産税は安くなりますか?

必ず安くなるとは言えません。税額の扱いは土地の状況で変わりますので、課税明細書を持ってつくば市の担当課に確認するのが確実です。

Q. 費用や期間はどのくらいかかりますか?

土地の状況や依頼先によって異なるため、目安は示せません。複数の専門家から見積もりを取り、売却の日程と合わせて検討してください。

Q. 相続した土地で共有になっています。合筆はできますか?

共有の場合は、筆ごとの持分が同じかどうかなどが要件に関わります。持分が違うと、そのままでは難しいとされています。まず共有者全員で売却の方針を話し合い、専門家に相談してください。

Q. 複数筆の土地売却を、まず不動産会社に相談しても構いませんか?

構いません。登記の可否は専門家の領域ですが、不動産会社は売る範囲や買主さんの条件を整理する役割を担います。確認表を持参すると、相談が早く進みます。

まとめ|まず筆ごとの確認表を作ってから相談を

複数筆の土地を売るときは、「売る範囲」と「合筆するかどうか」を分けて考えることが出発点です。筆ごとの地番・地目・所有者と持分・権利の登記・隣接関係を表にして、合筆の可否は調査士や管轄のつくば出張所へ、権利の整理は司法書士や金融機関へ、売り方は不動産会社へと、順に相談してください。

ハウスドゥ つくば研究学園都市では、つくば市内の土地・不動産の売却や買取のご相談を受け付けています。複数筆の土地や、登記に不安のある土地についても、資料の整理からご相談いただけます。お電話(0120-565-072)、またはお問い合わせフォームからどうぞ。

あわせて読みたい

参考にした公的・専門団体の情報

※この記事は一般的な情報の整理であり、個別の土地について合筆の可否や税額・費用・期間を保証するものではありません。合筆などの表示に関する登記は土地家屋調査士・管轄の法務局、抵当権や所有権などの権利に関する登記は司法書士にご確認ください。

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