「実家は下水道が来ていなくて浄化槽です。売るときに不利になりますか」——つくば市、特に谷田部・茎崎・筑波地区の物件でよくいただくご相談です。
結論から申し上げると、浄化槽そのものが売却の妨げになることはありません。ただし種類によって買主の負担が変わり、それが価格交渉の材料になります。
この記事では、浄化槽の種類ごとの違い、売却時の引き継ぎ手続き、そしてつくば市の補助金の落とし穴を、宅地建物取引士が解説します。
まず「どの方式か」を確認する
生活排水の処理方法は大きく3つに分かれます。どれに当たるかで話がまったく変わります。

①公共下水道
市の下水道に接続している状態です。個人での維持管理は不要で、使用料は水道料金と一緒に請求されます。買主にとって最も分かりやすく、売りやすい形です。
②合併処理浄化槽
台所・お風呂・洗濯・トイレの排水をまとめて処理する設備です。現在設置されているのはこちらが基本です。
維持管理として年3〜4回の保守点検、年1回の清掃、年1回の法定検査が必要です。費用はかかりますが、適切に管理されていれば売却上の問題にはなりません。
③単独処理浄化槽
ここが最も注意が必要です。トイレの排水だけを処理し、台所やお風呂の排水はそのまま流す方式です。
2001年(平成13年)に新設が禁止されており、現在も残っているのは「みなし浄化槽」として使用が認められているものです。買主は将来の交換を検討することになり、その費用が価格交渉に反映されます。
調べ方
維持管理の契約書、保守点検の記録、法定検査の結果書をご確認ください。書類が見当たらない場合は、つくば市の下水道工務課や、契約している保守点検業者へお問い合わせいただけます。
★つくば市の浄化槽補助金には落とし穴があります
つくば市には高度処理型合併処理浄化槽の設置に対する補助金制度があります。金額はかなり手厚いのですが、売主にとっては使えないことが多い制度です。

補助額は大きい
設置補助は5人槽で36.0万円〜100.2万円、7人槽で46.2万円〜132.9万円(性能の分類による)。さらに転換の場合、単独処理浄化槽の撤去費用に15.0万円、くみ取り槽の撤去費用に12.0万円、宅内配管工事に上限33.0万円が上乗せされます。
ところが「自己居住用」限定
ここが決定的です。補助の対象者の要件に、こうあります。
申請者本人の自己居住用であること(販売・転売・賃貸目的でないこと)
売却するために浄化槽を入れ替えても、補助金は使えません。「補助金で交換してから高く売ろう」という計画は成り立たないということです。
その他の注意点
- 申請前に工事へ着手すると対象外になります
- 対象区域はつくば市内全域から、下水道整備済区域・下水道認可区域・集中浄化槽処理区域を除いた地域
- 事務所・店舗・集合住宅に設置するものは対象外
- 市税に滞納がないことを証する書類が必要
- 予算枠に達すると交付できない場合がある
だからどうすればよいか
売主が交換する必要はありません。むしろ「買主が入居後に補助金を使って交換できる」ことを伝えるほうが有効です。買主は自己居住用なので、補助金の対象になり得ます。
単独処理浄化槽が残っている物件でも、「交換費用はかかるが、市の補助金が使える」と説明できれば、買主の不安は大きく減ります。
出典:つくば市「浄化槽補助金制度」(2026年4月2日更新)。金額は2026年度のもので、予算や制度は変更される場合があります。詳細と最新情報はつくば市環境保全課へご確認ください。
売却時の引き継ぎ手続き
①保守点検・清掃の契約を確認する
浄化槽は浄化槽法により、保守点検・清掃・法定検査が義務づけられています。契約中の業者名と契約内容を確認してください。
②未実施があれば済ませておく
法定検査を受けていない、清掃を長年していないという状態は、買主に不安を与えます。売却前に実施し、記録を渡せる状態にしておくことをおすすめします。
③使用開始・廃止の届出
所有者が変わる際は、浄化槽の管理者変更の届出が必要です。手続きの詳細はつくば市環境保全課へご確認ください。
④重要事項として説明する
浄化槽の種類・維持管理の状況・年間費用は、買主が知りたい情報です。当社では書面で整理してお伝えします。隠さず開示することが、結果的にスムーズな取引につながります。
浄化槽の維持管理でやるべき3つのこと
浄化槽法により、管理者には3つの義務があります。売却時にこの記録を渡せるかどうかで、買主の安心感が変わります。
①保守点検(年3〜4回)
機械の動作確認、消毒剤の補充、汚泥の状況確認などを行います。登録を受けた保守点検業者に依頼します。回数は浄化槽の種類や処理方式によって定められています。
②清掃(年1回以上)
たまった汚泥を抜き取る作業です。市の許可を受けた清掃業者が行います。保守点検とは別の作業で、混同されやすい点です。
③法定検査(年1回)
これが最も忘れられています。保守点検や清掃をしていても、法定検査は別に受ける必要があります。都道府県知事が指定した検査機関が実施し、浄化槽が正常に働いているかを判定します。
設置後にも使用開始から3〜8か月の間に検査を受ける決まりがあります。
買主が気にすること
年間いくらかかるのか
下水道と比べて維持費がどれだけ違うかを知りたがります。金額を提示できれば、判断が早くなります。
いつ交換が必要になるか
浄化槽の耐用年数は使い方や設置状況で変わります。設置年と点検記録があれば、状態の見当がつきます。「わからない」が最も不安を与えます。
下水道は来るのか
下水道認可区域であれば「将来整備される計画がある」と説明できます。これは買主にとって好材料です。つくば市下水道工務課で確認できるので、売却前に調べておく価値があります。
臭いはしないか
実際に内見で確認されます。清掃を済ませ、ブロワーが正常に動いている状態にしておいてください。
浄化槽の物件を購入したお客様の多くは、内見時に維持費や交換時期の説明が明確だったかどうかをその後の満足度と結びつけて振り返る傾向があります。逆に、こうした点を曖昧にしたまま契約すると、引き渡し後のトラブルにつながる可能性があるため、点検記録や清掃状況の資料をあらかじめ準備しておくことが、スムーズな売却のポイントです。維持管理の実態を正直に伝えることは、売主にとってのデメリットに見えて、実際は信頼を得る大きなメリットになります。
空き家の浄化槽で起きる問題
使わないと機能が落ちる
浄化槽は微生物の働きで汚水を処理しています。誰も住まず排水が流れない状態が続くと、微生物が死んで機能が低下します。
使っていなくても管理義務は続く
「空き家だから点検も清掃も不要」ではありません。浄化槽が設置され使用されている限り、管理義務は所有者にあります。長期間使わない場合の扱いについては、保守点検業者や市へご相談ください。
臭いの発生
使用されない浄化槽やブロワーの停止は、臭いの原因になります。近隣からの苦情につながることもあります。
あわせて空き家の維持費は年いくら?10年で計算するもご覧ください。浄化槽の維持管理費も、空き家のコストの一部です。
つくば市の地域別の状況
研究学園・つくば駅周辺・みどりの
市街化区域として整備されたエリアは公共下水道が普及しています。この地域なら浄化槽の心配は基本的に不要です。
谷田部・茎崎・筑波地区
浄化槽の物件が多いエリアです。特に古くからの住宅では、単独処理浄化槽やくみ取りが残っていることがあります。
下水道認可区域
まだ下水道が来ていなくても、将来の整備が計画されている区域があります。この区域は浄化槽補助金の対象外です。「いずれ下水道が来る」ことは買主にとって好材料なので、確認して伝える価値があります。
ご自身の物件がどの区域に当たるかは、つくば市の下水道工務課で確認できます。
よくある質問
Q. 浄化槽の家は安くなりますか?
合併処理浄化槽で適切に管理されていれば、それだけで大きく下がることはありません。ただし単独処理浄化槽やくみ取りの場合、買主が交換費用を見込むため価格に反映されます。
Q. 年間の維持費はどのくらいですか?
保守点検・清掃・法定検査を合わせて年間数万円程度が一般的です。人槽や地域、契約先で変わるため、契約中の業者へご確認ください。
Q. 売る前に合併処理浄化槽へ交換すべきですか?
おすすめしません。売却目的では市の補助金が使えず、費用を全額負担することになります。その費用が売却価格に上乗せできる保証はありません。現況のまま、正確に説明して売るほうが合理的です。
Q. 下水道が来ているのに接続していません
下水道が整備された区域では、接続が求められるのが原則です。未接続の場合、買主が接続工事の費用を負担することになるため、事前に状況をご確認ください。
Q. 浄化槽を撤去して売ることはできますか?
建物を解体して更地にする場合、浄化槽も撤去します。ただし更地にすると住宅用地の特例が外れて固定資産税が上がります。解体前に手取りの比較をおすすめします。
Q. 何から始めればよいですか?
浄化槽の種類と維持管理の記録を確認してください。そのうえで査定を受ければ、浄化槽が価格にどう影響するかを具体的にお伝えできます。
まとめ
- 浄化槽そのものは売却の妨げにならない。問題は「種類」と「管理状況」
- 合併処理浄化槽で適切に管理されていれば、説明すれば問題にならない
- 単独処理浄化槽は2001年に新設禁止。買主が交換を検討するため価格交渉の要因になる
- ★つくば市の浄化槽補助金は「自己居住用」限定で、販売・転売・賃貸目的は対象外
- だから売主が交換する必要はない。「買主なら補助金を使える」と伝えるほうが有効
- 補助額は設置で36.0万〜158.5万円、転換時は単独撤去15.0万円・くみ取り撤去12.0万円・宅内配管上限33.0万円が上乗せ
- 売却前に保守点検・清掃・法定検査を済ませ、記録を渡せる状態にしておく
- 空き家でも管理義務は続く
つくば市の浄化槽物件の売却はハウスドゥ つくば研究学園都市へ
「浄化槽だから売れないのでは」とご心配なら、まずご相談ください。浄化槽の種類と管理状況を確認し、価格にどう影響するかを具体的にお伝えします。
単独処理浄化槽が残っている物件、くみ取りの物件、長く空き家で管理が途切れている物件も扱えます。当社の買取なら、現況のままお引き取りが可能です。
査定・ご相談は無料です。谷田部・茎崎・筑波地区の物件、市街化調整区域の物件もお任せください。
お電話:0120-565-072(通話無料)
フォーム:無料相談・査定のお申し込みはこちら
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※本記事は2026年8月時点の情報にもとづく一般的な解説です。補助金の要件・金額・予算枠は変更される場合があります。最新情報と個別の適用可否は、つくば市環境保全課(029-883-1111)または下水道工務課へご確認ください。維持管理費は契約先により異なります。
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