「実家をすぐに売る気はない。とりあえず持っておこう」——多くの方がそう考えます。

ただ、空き家は持っているだけでお金が出ていきます。しかも1年あたりの金額はそれほど大きく見えないため、気づかないうちに5年・10年と積み上がっているのが実情です。

この記事では、つくば市の税率と制度にもとづいて、空き家の維持費を項目ごとに整理します。そのうえで「持ち続ける」と「売る」のどちらが合理的かを判断する材料をお示しします。

目次
  1. 維持費の内訳
    1. ①固定資産税・都市計画税
    2. ②火災保険
    3. ③電気・水道の基本料金
    4. ④草刈り・剪定
    5. ⑤往復の交通費と時間
  2. ★勧告を受けると固定資産税が最大6倍になる
    1. いまは住宅用地の特例で軽減されている
    2. 勧告を受けると特例が外れる
    3. いきなり勧告は来ない
  3. 5年・10年で計算してみる
    1. 年間の合計を出してみる
    2. 10年で考える
    3. それでも持ち続けるべき場合はある
  4. 維持費を下げる方法
    1. ①火災保険を見直す
    2. ②使わない契約を止める
    3. ③賃貸に出す
    4. ④解体して更地にする
    5. ⑤売却する
  5. つくば市の事情
    1. 市街化区域か調整区域かで税負担が違う
    2. 研究学園都市エリアは資産価値が保たれやすい
    3. 旧集落・農村部は時間との勝負
  6. 維持費以外にかかる「見えない負担」
    1. 近隣への責任が続く
    2. 相続のたびに関係者が増える
    3. 判断できる人がいなくなる
  7. 判断のしかた|3つの質問
    1. 質問1:5年以内に使う予定はありますか
    2. 質問2:毎年の維持費を10年払い続けられますか
    3. 質問3:管理を続けられますか
  8. よくある質問
    1. Q. 誰も住んでいないのに固定資産税がかかるのは納得できません
    2. Q. 名義が亡くなった親のままです。誰が払うのですか?
    3. Q. 建物が古くて評価額がゼロに近いのですが
    4. Q. 空き家バンクに登録すれば維持費は減りますか?
    5. Q. まず何をすればよいですか?
  9. まとめ
  10. つくば市の空き家のことはハウスドゥ つくば研究学園都市へ
  11. あわせて読みたい

維持費の内訳

空き家の年間維持費の内訳|ハウスドゥ つくば研究学園都市
空き家の維持費の内訳

①固定資産税・都市計画税

毎年1月1日時点の所有者に課税されます。誰も住んでいなくても、使っていなくてもかかります。

つくば市の税率は固定資産税1.4%です。都市計画税は0.15%で、制限税率0.3%の半分に抑えられています。課税対象は市街化区域全域と、市街化調整区域のうち下水道処理区域内の土地・家屋です。

なお課税標準額が土地30万円・家屋20万円未満なら免税点未満で課税されません。古い建物は評価額が下がっているため、建物だけ非課税というケースもあります。

②火災保険

ここが見落とされやすい項目です。空き家は多くの場合、住宅物件ではなく「一般物件」として扱われ、保険料が割高になります。

誰も住んでいないため放火や漏電の発見が遅れ、被害が大きくなりやすいと評価されるためです。年間保険料は1万円から6万円程度が目安とされますが、建物の状態や補償内容で大きく変わります。

「使っていないから」と解約するのは極めて危険です。失火して近隣へ延焼すれば、賠償が発生し得ます。空き家であることを保険会社に伝え、適切な契約に切り替えてください。

③電気・水道の基本料金

契約を残せば、使わなくても基本料金がかかります。ただし売却を予定しているなら、水道は残しておくほうがよい場面があります。理由は空き家の水道は止めるべき?売るなら止めない理由で解説しています。

④草刈り・剪定

放置すると近隣からの苦情につながります。年1〜2回の外注で、1回あたり1万〜3万円程度が目安です。庭木が多い、敷地が広いといった条件で上がります。

⑤往復の交通費と時間

金額に表れにくいのがこれです。県外にお住まいなら、往復の交通費に加えて丸1日が消えます。年に数回でも、負担は小さくありません。

★勧告を受けると固定資産税が最大6倍になる

維持費の話で最も大きなリスクがこれです。

管理不全空家等の勧告で固定資産税が最大6倍になる仕組み|ハウスドゥ つくば研究学園都市
勧告を受けると特例が外れる

いまは住宅用地の特例で軽減されている

建物が建っている土地には住宅用地の特例があり、課税標準額が軽減されています。

  • 小規模住宅用地(200㎡以下の部分)……課税標準が6分の1
  • 一般住宅用地(200㎡を超える部分)……課税標準が3分の1

勧告を受けると特例が外れる

管理が行き届かず、市から管理不全空家等・特定空家等として勧告を受けると、この特例が適用されなくなります。結果として土地の固定資産税が最大6倍に跳ね上がります。

「毎年8万円だった税金が、翌年から数十万円になる」——これが起こり得ます。維持費の話が、突然まったく違う規模になるのがこのリスクです。

いきなり勧告は来ない

安心していただきたいのは、勧告の前に「助言・指導」の段階があることです。この時点で草を刈る、破損を直すなどの対応をすれば、増税は避けられます。

市からの通知を放置しないでください。草木の繁茂、屋根や外壁の破損、ごみの放置などが判断の要因になります。

5年・10年で計算してみる

1年分だけ見ると「まあこのくらいなら」と思える金額でも、期間で見ると印象が変わります。

年間の合計を出してみる

お手元の納税通知書に書かれた固定資産税・都市計画税の実額に、火災保険料、光熱費の基本料金、草刈り費用、交通費を足してください。これがあなたの物件の年間コストです。

10年で考える

その金額に10を掛けます。「10年後に売る」という選択は、この金額を先に支払うのと同じ意味を持ちます。

さらに、建物は年々古くなり、10年後の売却価格は今より下がるのが通常です。維持費を払いながら、資産価値も目減りしていきます。

それでも持ち続けるべき場合はある

誤解のないように申し上げると、持ち続けることが正しい場合もあります。

  • いずれご自身や子世代が住む予定がある
  • 賃貸に出して収益を得られる見込みがある
  • 周辺の開発計画があり、地価の上昇が見込める
  • 相続税の申告期限との関係で、いま売ると不利になる

問題なのは「決めていないから、なんとなく持っている」状態です。理由があって持つのなら、それは判断です。

維持費を下げる方法

①火災保険を見直す

空き家であることを伝えたうえで、補償内容を必要な範囲に絞ると保険料を抑えられる場合があります。ただし解約は選択肢にしないでください。

空き家の保険は、無人であることを理由に補償が使えなかったり、逆に空き家向けの専用プランに切り替えることで保険料が下がったりするケースがあります。台風や雪害で屋根や外壁の修繕が必要になったときに補償対象かどうかも、この機会に確認しておくと安心です。地元の業者に定期的な見回りを依頼しておけば、雨漏りなどの小さな異常を早期に見つけられ、放置による近隣とのトラブルも防ぎやすくなります。

②使わない契約を止める

ガスは内見で使うことがほぼないため、止めてよい場合が多くあります。電気は内見時の照明・換気に必要なので残すことをおすすめします。

③賃貸に出す

維持費を賃料で賄う方法です。ただし入居前のリフォーム費用がかかり、入居者が付いた後は簡単に売却できなくなります。古い建物では、投資を回収できるか慎重な判断が必要です。

④解体して更地にする

これは逆効果になることが多い方法です。建物を壊すと住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税が上がります。売却の見込みが立ってから解体するのが原則です。

あわせてアスベスト調査は売却前に必要?解体費用への影響もご確認ください。

⑤売却する

維持費をゼロにする唯一の方法です。加えて、売却代金が手元に入ります。「使う予定がない」と決まっているなら、これが最も合理的です。

つくば市の事情

市街化区域か調整区域かで税負担が違う

都市計画税は市街化区域全域と、市街化調整区域のうち下水道処理区域内にかかります。調整区域の下水道処理区域外なら、都市計画税は課税されません。

ただし調整区域は買い手が限られるため、売却の難易度は上がります。維持費が安いからと放置すると、結果的に手放せなくなります。

研究学園都市エリアは資産価値が保たれやすい

TX沿線や研究学園地区は需要があるエリアです。建物が古くても土地に価値があるため、維持費を払い続けるより早めに売却したほうが有利なケースが多くあります。

旧集落・農村部は時間との勝負

谷田部・茎崎・筑波地区の旧集落では、時間が経つほど買い手が減ります。建物の傷みも進みます。維持費を払いながら価値が下がる状態が続くため、判断は早いほうが有利です。

維持費以外にかかる「見えない負担」

近隣への責任が続く

建物の一部が飛んで隣家を傷つけた、ブロック塀が倒れた、といった場合、所有者が責任を負う可能性があります。台風や地震のたびに心配が続くことになります。

相続のたびに関係者が増える

兄弟2人で共有していた実家が、それぞれの子の代になると4人、孫の代で8人と増えていきます。人数が増えるほど、全員の合意を得ることが難しくなります。

実務では、祖父母の代の名義が残ったまま相続人が十数人になっている物件を見かけます。こうなると売却は極めて困難です。

判断できる人がいなくなる

所有者が認知症になると、成年後見人の選任と家庭裁判所の許可がなければ売却できません。手続きに半年から1年かかります。くわしくは認知症の親の家は売れる?成年後見と裁判所の許可をご覧ください。

「まだ元気だから」と先延ばしにすると、売りたくても売れない状態になります。

判断のしかた|3つの質問

質問1:5年以内に使う予定はありますか

ご自身や子世代が住む、事業に使うなど具体的な予定があるか。「いつか使うかも」は予定ではありません。

質問2:毎年の維持費を10年払い続けられますか

年間コストに10を掛けた金額を見て、それだけの価値がある資産かを考えてください。

質問3:管理を続けられますか

年に数回の通気・通水・草刈りを、この先10年続けられるか。ご自身の年齢や生活の変化も踏まえてご検討ください。

3つとも「はい」なら持ち続ける判断に合理性があります。1つでも「いいえ」があるなら、売却を検討する時期です。

よくある質問

Q. 誰も住んでいないのに固定資産税がかかるのは納得できません

固定資産税は1月1日時点の所有者に対して、資産を持っていることに課税されます。使用の有無は問いません。減免は災害など限られた場合のみです。

Q. 名義が亡くなった親のままです。誰が払うのですか?

相続人が納税義務を承継します。代表者を決めて納付書が送られますが、相続人全員に義務があります。相続登記は2024年4月から義務化され、3年以内の申請が必要です。

Q. 建物が古くて評価額がゼロに近いのですが

課税標準額が家屋20万円未満なら免税点未満で課税されません。ただし土地には引き続き課税されます。また建物があることで住宅用地の特例が効いているため、安易に解体すると土地の税額が上がります。

Q. 空き家バンクに登録すれば維持費は減りますか?

維持費そのものは変わりませんが、つくば市空家活用補助金の対象になり得ます。ただし空家バンクへの登録が前提で、3親等以内の親族間の売買では使えないなどの条件があります。

Q. まず何をすればよいですか?

納税通知書を用意して、年間コストを1枚の紙に書き出してください。そのうえで査定を受け、「10年分の維持費」と「今売った場合の手取り」を並べてみてください。判断がはっきりします。

まとめ

  • 空き家は使っていなくても毎年お金が出ていく。固定資産税・火災保険・光熱費・草刈り・交通費
  • つくば市の税率は固定資産税1.4%、都市計画税0.15%(制限税率0.3%の半分)
  • 火災保険は空き家だと「一般物件」扱いで割高。それでも解約は危険
  • ★勧告を受けると住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税が最大6倍。ただし勧告の前に助言・指導の段階がある
  • 解体は逆効果になりやすい。特例が外れて税額が上がる
  • 1年ではなく10年で計算する。同時に建物の価値は下がり続ける
  • 持ち続けること自体は悪くない。問題は「決めていないから持っている」状態

つくば市の空き家のことはハウスドゥ つくば研究学園都市へ

「売るかどうか決めていない」段階でご相談ください。今売った場合の手取り額をお出しします。お手元の納税通知書と並べていただければ、持ち続ける場合と売る場合のどちらが有利か、数字で判断できます。

ご遠方で現地に行けない方には、当社が状況を確認してご報告します。傷みが進んだ物件、調整区域や旧集落の物件も、そのままの状態で買取が可能です。

査定・ご相談は無料です。売却を決めていなくても構いません。

お電話:0120-565-072(通話無料)
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※本記事は2026年8月時点の情報にもとづく一般的な解説です。記載の金額はすべて目安であり、当社の料金や保証額ではありません。税率・制度は変更される場合があります。固定資産税の実額は納税通知書、制度の詳細はつくば市役所へご確認ください。火災保険の契約条件は保険会社にご相談ください。

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